各地で一年の始まり祝う 寺院やモールにぎわう 中国正月
イムレック(春節、中国正月)を迎えた19日、約1千万人の華人は各地の中国寺院などに集まり、新年を祝った。ジャカルタでは朝から雨が降るなか、華人以外の家族連れも行楽地へ出かけるなど、各地は祝賀ムードに包まれた。
ショッピングモールなどではバロンサイ(獅子舞)や昇り竜が舞った。一目見ようと家族連れや観光客が訪れた。東ジャカルタ・チブブールの複合施設コタ・ウィサタ・チブブール内のテーマパーク「カンプン・チナ(中国村)」には、華人以外の家族連れも訪れ、午前中だけで5千人以上が来場。赤い装飾や餅菓子などを購入して祝った。西ジャカルタ・グロドックの中国寺院「金徳院」には、朝からひっきりなしに華人が訪れ、家族と共に新たな一年を祝う人であふれた。
ラグナン動物園や北ジャカルタ・アンチョールなどの複合施設は、雨天の影響で祝日にも関わらず、来場者は少なかった。
華人であるジャカルタ特別州のアホック知事は、バンカブリトゥン島へ帰省せず、自宅でのイベント「オープンハウス」も開催しなかった。「今年は静かに祝いたい」と、知人や家族らと新年を迎えた。華人でない西ジャワ州バンドン市のリドワン・カミル市長も、19日未明に市内の中国寺院を訪れて祈りをささげた。
1968年のスハルト政権発足から華人の同化政策、文化活動の禁止など弾圧が続いた。民主化後の2000年に故アブドゥルラフマン・ワヒド(グスドゥル)元大統領が華人文化を自由化した。02年にイムレックが国民の祝日になり、昨年ユドヨノ前大統領が華人への差別的呼称「チナ」を廃止した。多民族・多文化社会の実現、差別の完全撤廃を目指している。(西村百合恵、8面に関連)