「土地建物税廃止」で賛否 フェリー国土相「国民負担減を」 税収減の地方、難色も

 フェリー・ムルシダン・バルダン国土都市計画相(国土庁=BPN=長官兼務)が地方税の土地建物税(PBB)の一部廃止を含む税制改革を推し進めている。同相は「一般市民の税負担を軽減しなければならない」と強硬姿勢だが、国会からは慎重な議論を求める声が上がっている。税収減につながる地方自治体からは難色を示す反応も出ている。

 年税のPBBは、課税評価額(NJOP)に応じて税率が変わる。0.3%を上限として、自治体に税率決定の権限が認められている。
 フェリー計画相は9日、「ジョコウィ大統領に改革案を文書で提案した。チャフヨ内相とバンバン財務相には口頭で内容を伝えた。大統領の指示を待つ」と地元メディアに語った。
 同相は、土地や建物に課すPBBのうち、所有者が居住する住宅に限定して廃止したい考え。店舗や工場、ホテルのほか賃貸目的の住宅など商用の土地や建物に対する課税は存続させる。所有者が居住する住宅に対しても、一定の評価額を超えるものについては継続して課税対象とする方針。今後、課税基準など詳細を詰め最終案をとりまとめる。
 これまで同相は国会第2委員会(内政、法律)で協議するなど調整を進めてきた。下位中間層に区分される所得層を念頭に置き、「一般市民の税負担を軽減しなければならない。これこそ政府の責務だ」と意義を強調している。反対意見に対しては廃止対象を限定することを強調し、理解を得たいとしている。
 ソフヤン・ジャリル経済調整相は地方税のPBBを一部廃止することで自治体の税収減につながるとして改革案に反対の姿勢だ。
 ファドリ・ゾン国会副議長も自治体の税収減を問題視し「政府は慎重に検討を進めるべきだ。PBBを廃止して他の税を引き上げるなどということをしてはならない」と語っている。国会第2委のヤンドゥリ・スサント議員は「まだ最終的に決定したわけではない。検討が必要だ」とした。
 ジャカルタ特別州は、土地や建物に課税するPBBと土地建物取得税(BPHTB)で合計約13兆ルピアの税収を見込んで2015年の州予算を編成した。アグス・バンバン税務局長は「州予算の再編成が必要になる」としてPBB一部廃止に難色を示す。ただ、同州のアホック知事は「まだ我々が議論する段階ではない」として委員会での審議を見届ける姿勢だ。
 バリ州のマデ・マンク・パスティカ知事も州民の税負担を軽減できるとして「大いに賛成」と歓迎。税収減については他の税源で補えると語った。
 また土地所有に関連する法整備をめぐっては国会が9日、年内に審議する予定の159法案のうち、土地収用法改正法案を含む37法案を優先審議とすることを決めた。(田村隼哉)

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