バリのホテル過当競争 平均稼働率は前年比1割減 2200軒5万室に

 国内随一の観光地であるバリ島で運営されているホテルが2212軒(計5万室)に達したことが、観光省の調べで分かった。今月2日には米系リッツ・カールトンがオープンし、他の五つ星級ホテル2軒も年内に進出する。ホテルやヴィラの建設が加速する一方、稼働率や客室単価に陰りが見え始め、バリ州政府は過当競争への対策を迫られている。

 バリ州観光局に登録されたホテル軒数は昨年、過去5年で最高を記録した。個人経営のホテルやヴィラなど未登録のものを含めると、中央統計局(BPS)は7万5千室に上ると推計する。調査会社JLL・インドネシアによるホテル内訳は、高級ホテル16%、中級41%、シティホテル21%。
 今年中に五つ星の米スターウッド・ホテル&リゾーツ・ワールドワイドのウェスティン、英コンチネンタルホテルグループ(IHG)のインディゴがオープンを予定している。インドネシア・ホテル・レストラン協会(PHRI)は12年、バリのホテル建設は高級志向にすると宣言したが、低価格のシティーホテルも増加しているという。
 ホテルの建設ラッシュが進む一方で、稼働率が低下している。不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、客室数が増加したことで価格競争が進み、五つ星ホテルの平均客室単価は昨年、2013年比12%減の445ドルとなり、客室販売売上も同5%減の316ドルだった。
 ホテル全体の稼働率は、11〜13年は62%前後を維持したが、昨年は51%へと激減。減少傾向は州都デンパサール、クタやレギャンを抱えるバドゥン、タバナン、ギアニャール、カランアセム、ブレレン各県・市でみられ、州内最低のブレレン県は30.36%まで落ち込んだ。高級ホテルでは稼働率が13年比で5%増加したが、ホテル従業員の賃金低下などの問題が生じているという。
 バリ州のマデ・マンク・パスティカ知事は、中級以下のホテルの競争激化を回避するため宿泊料金の下限設定を検討している。例として一泊100万ルピアのところを40万ルピアで販売した場合でも、課税対象は100万ルピア分とするなどの規定を設けるという。ホテル・レストラン協会のバリ支部からも下限設定を歓迎する声が出ている。

■観光客とLCC増加
 ホテル建設が進む背景として、観光客数や格安航空(LCC)が増えたことなどがある。昨年11月までに訪れた外国人観光客は、前年同期比15%増の376万6638人。うち最多が豪州(22.5%)、次いで中国(12%)だった。豪州や欧米からの旅行者は、主に高級志向のヴィラなどを利用。一方、中華圏の旅行者は団体客が中心。中級ホテルに宿泊する団体バスのツアー客が増加している。
 またLCCの就航は豪州だけで12空港。国営ガルーダ航空は北京とバリを結ぶチャーター便を就航するなど路線を拡充している。(西村百合恵)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly