外国機への迎撃急増 14年に強制着陸4件 防空能力の向上示す

 領空侵犯した外国機を空軍戦闘機が迎撃し、国内に強制着陸させる事案が2014年に4件あったことが、空軍への取材で分かった。年に1回あるかないかだった前年までと比べ急増した。経済成長を背景に、空軍は新鋭戦闘機やレーダーの配備を進めており、防空能力の向上や、領空侵犯に厳しく対処する姿勢を示す狙いがあるとみられる。

 空軍が開示した記録によると、13年に強制着陸はなく、12年と11年は各1件だけだった。14年の4件は1件を除いてジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権発足後に集中。大統領就任式2日後の10月22日に北スラウェシ州で、同28日に西カリマンタン州で民間機を迎撃したほか、11月3日にはサウジアラビア政府関係者の乗った小型ジェット機を東ヌサトゥンガラ州クパンに強制着陸させた。いずれも無許可飛行が理由。
 国防省関係者は外国機の領空侵犯は以前からあったと話しており、前政権までは比較的寛容な対応を取っていたとみられる。新政権発足後は、だ捕した外国船を爆破処分するなど違法漁業の取り締まりを強化しているが、空に関しても主権を守る強い姿勢を示していると言える。カラ副大統領はサウジ機の領空侵犯があった直後の11月5日、「迎撃は成功しており、十分な能力を有している」と話し、空・海軍の国境警備活動を評価した。
 空軍はジャワ島からスマトラ島南部にかけての一部地域に限って、防空識別圏(ADIZ)を設定し、特別な警戒態勢を取っている。しかし、14年の4件は首都から遠い国境付近で迎撃しており、遠隔地での監視や対応能力が向上している表れとみられる。

■新鋭機の配備進む
 迎撃にはロシア製スホイ戦闘機か米国製F―16戦闘機が緊急発進している。両機は世界的にみても一線級の戦闘機だ。特にスホイはここ10年、空軍が配備に力を入れている。それまでの主力は50年代に設計された米国製F―5戦闘機だった。国防省幹部は同機について、ほとんど使える状態にないと明らかにしている。装備の充実も強制着陸の増加の一因とみられる。
 最新鋭の戦闘機配備はスハルト政権時代に計画されながら、再三中断した空軍の悲願だ。F―16の配備は80年代後半に始まったが、東ティモールでの人権侵害を理由に米国が武器の禁輸措置を取ったため、売買契約の大半がキャンセルされた。その後、調達先をロシアに切り替え、同世代機であるスホイSu―27やSu―30の導入を目指したが、これもアジア通貨危機で頓挫した経緯がある。
 メガワティ政権下の2003年にスホイ機4機の購入でロシアと再び契約したのを皮切りに、現在ではスホイ機だけで18機体制を整えるに至っている。(道下健弘、12面に関連)

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米軍機と一触即発も チャッピー元空軍参謀長 03年に異例の公表 (2015年01月19日)

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