食品ノウハウ、ASEANへ 人材育成、日本の社員が講師 ジャカルタで事業開始式典

 日本の農林水産省と東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局が共同で実施する、各国大学における食品分野人材育成プロジェクトの開始セレモニーが14日、中央ジャカルタのホテルで開かれた。プロジェクトは、ASEAN諸国での人材育成、日系企業の海外進出が狙いで、食品関連企業の社員が講師として各国に派遣される。インドネシアでも4月から国立ボゴール農科大学(IPB)で関連講座がスタートし、日系企業との協力を図る。

■官民一体で推進
 プロジェクト期間は3年。原料生産から製造・加工、流通、消費まで各段階で付加価値を上げていく「フード・バリューチェーン(FVC)」など日本のノウハウを伝え、現地で人材も育成する。
 日本政府は各国の農業専門大学と提携を結んでおり、各大学で寄付講座を開講する。進出を果たしているイオンやキリンホールディングスなど日系13社が協力し、各社が注力する事業やFVCの経験を積んだ社員を講師として派遣する。講義後は企業説明会などをし就職も支援する予定だ。
 農林水産政策研究所兼食料産業局の岩瀬忠篤次長は、「海外進出した日系企業の大きな悩みの一つは、現地での優秀な人材確保が難しいこと。官民一体で日本の強みを生かした人材育成を進めたい」としている。
 雪印メグミルク海外事業部の佐藤克之課長は「プロジェクトは、日系企業について学んだ学生と、現地情報がほしい企業で情報交換できる機会になり、互いにプラスだ。彼ら自身でものづくりができるようになれば良い」と期待を示した。
 14日のセレモニーとシンポジウムには農林水産省やASEAN事務局、IPB関係者、学生など約150人が出席。日本の食品業界の現状やプロジェクトの戦略、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」などについて説明があった。
 四季折々の和食や和菓子、抹茶を提供するコーナーも設置され、来場者らは日本文化に触れた。

■イ大衆商品開発を
 IPBで開かれる関連講座は、毎週火曜日に2時間、計7回を開講する予定。アナス・ミフタフ・ファウジ副学長は「日本の商品は、高品質だけでなく、健康的な食文化を反映し洗練されたパッケージやユニークさにも力を入れている」と評価。FVCは国内でも新しい考え方だと注目し、国際競争力を高めるためにプロジェクトは重要だとみている。
 国内産業についても、サンバル(チリソース)やジャムー(伝統薬)などインドネシアならではの食品の質向上を図るため、日本企業と協力し開発に取り組むことを提案した。(毛利春香、写真も)

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