帰り待つ遺族ら 「報道制限して」 「お父さんどこ」
12月28日に東スラバヤのジュアンダ国際空港を発ったエアアジア機(エアバスA320―200、乗客乗員162人)の墜落事故から1週間がたった。今も捜索が続いており、乗員や乗客の遺族らが家族の帰りを待ち続けている。
同機を操縦していたイリヤント機長(56)の家族も彼の帰りを待つ。イリヤント機長は冗談好きで明るく、いつも周囲を元気づけていたという。父のスワルトさん(76)は、もう一人の息子エディさんを一週間前に心臓発作で亡くしたばかり。「一週間で二人の息子を亡くし最大の試練だ」と地元メディアに沈痛な面持ちで語った。
娘のアンジェラさん(22)はソーシャルメディアで「お父さんお願いだから帰ってきて。お父さんが必要なの」と投稿。息子のガリフくん(8)には、仕事でまだ帰ってきていないと伝えているという。
待ち続ける遺族らからは、遺体の運搬や身元確認についてメディア報道を制限するよう警察に求める声が上がっている。東ジャワ州警のアウィ・スティヨノ報道官は3日、メディア関係者らに対し「遺体について報道する必要はないし家族らも反対している。これはプライバシーに関わるため、家族らの意見を尊重しよう」と呼びかけた。
遺体の身元の特定は歯型や指紋、DNA検査などで進められている。身元確認に協力しているインドネシア大のブディ・サンプルナ法医学専門家によると、警察は機長や副操縦士、その他数人の乗客の検視解剖を実施するという。ブディ氏は「サンプルが必要なので全員する必要はない。また全員の家族の理解を得るのは難しいだろう」と話した。