地滑りで死者・不明108人 中部ジャワ州豪雨 集落100戸押し流す
12日午後5時55分ごろ、中部ジャワ州バンジャルヌガラ県サンパン村で、大規模な地滑りが起きた。民家約100戸が流されたり、土砂に埋まったりしたとみられる。国家防災庁(BNPB)は14日夜までに32人の死亡を確認、行方不明者を76人としている。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は同日、現地に入り、救助に全力を上げるよう指示した。
現場は同州マグランから西に約90キロの山間部。BNPBや現地からの報道によると、周辺で降った強い雨の影響で斜面が崩落したとみられる。土砂が同村のジュンブル集落を飲み込み、10ヘクタールにわたって覆った。
集落には約300人が居住していたが、家を離れたりしていた200人は無事だった。周辺では11日以降、小規模な土砂崩れが頻発していたという。13日にガンジャル・プラノウォ州知事が現地入りし、緊急事態宣言を発した。
土砂やがれきなどが集落に通じる道路を塞いでいるため、重機の搬入が遅れている。BNPBや国家警察、国軍、インドネシア赤十字などで構成する救助隊は、寸断箇所から徒歩で現場に入っている。公共事業・国民住宅省がショベルカーを搬入するなどし、道路のがれき除去を急いでいる。
BNPBのストポ・プルウォ・ヌグロホ報道官は「がれきの中から助けを求める声を聞いた救助隊員もいるが、掘り起こす機材がない」と話した。周辺集落も含め14日時点で600人余が自宅を離れ避難生活している。
ジョコウィ大統領は14日、アンディ・ウィジャヤント内閣官房長官やスタルマン国家警察らと現場を視察。「他の対応について話し合うより、今すべきことは救助活動だ」として、救助に全力を上げるよう指示した。同村のプルワント村長に2千万ルピア(約20万円)を渡し、当座の経費に充てるように伝えた。
コフィファ・インダル・パラワンサ社会相は同日、死者一人あたり500万ルピア、負傷者に100万ルピアを給付すると発表した。
インドネシアでは人口の6割が土砂災害の頻発地域に居住しているとの指摘もある。バンジャルヌガラ県内では2006年1月にも大規模な地滑りがあり、100人近くが死亡したが、土地を手放すことへの抵抗や経済的理由から危険箇所に住み続ける人が多いという。県では10年以降も15回以上の地滑りや土砂崩れが発生。雨期が本格化する12月から2月の被害が特に多いという。(道下健弘)