イスラム国対策で連携 領有権では中国けん制も 東アジア首脳会議

 東南アジア諸国連合(ASEAN)に日米中など8カ国が加わる東アジア首脳会議(EAS)が13日、ミャンマーの首都ネピドーであり、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の感染拡大防止や東南アジアからも戦闘員の渡航が確認されている中東の「イスラム国」を国際社会の喫緊の課題ととらえ、連携して対処することで一致した。

 会議には米国のオバマ大統領や中国の李克強首相、ロシアのメドベージェフ首相らが参加した。中東のイスラム国には、インドネシアからだけでも60〜100人の戦闘員が参加しているとされ、戦闘による死者も複数出ている。現地で経験を積んだり、組織間のネットワークを強化したりして帰国し、国内でテロを起こす可能性もあり、参加国間で封じ込めに向けた取り組みを強化する。
 参加国のほとんどがエボラ出血熱の脅威に言及。流行国への支援や感染の拡大防止に向けた水際対策で連携することを確認した。安倍晋三首相は流行国の医療支援などで、日本が最大1億ドルの無償資金援助を決めたことを紹介した。
 エボラ、イスラム国問題については議長声明とは別に、それぞれ独立した成果文書を採択した。
 中国とASEAN加盟国の一部が領有権を争う南シナ海問題は、12日のASEAN首脳会議に続いて焦点になった。中国が周辺の岩礁の埋め立てなどで実行支配を既成事実化させる動きを続けていることを踏まえ、安倍首相は「南シナ海で一方的な行動が継続されているが、国際法上の確立された原則を尊重しなければならない」などと発言した。
 名指しで中国を非難する参加国はなかったものの、日本の防空識別圏(ADIZ)と一部が重なる形で中国が東シナ海にADIZを設けた経緯があり、参加国の中には「上空飛行の自由」の重要性を主張し、南シナ海でのADIZ設定をけん制した国もあった。
 来年10周年を迎えるEASについて、安倍首相は同会議の事務局機能の強化などを提案。首相は今年5月のアジア安全保障会議(シャングリラ会合)での講演で、軍事予算の透明化や軍拡の抑制に取り組む場として、EASの役割を高めることを提唱していた。
 12日から続いたASEAN首脳関連会議はこの日で終了。1997年にミャンマーがASEANに加盟して以来初めて、同国が議長国を務めた。次期議長国はマレーシア。(ネピドーで道下健弘)

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