「ドル箱路線」競争激化 東京〜ジャカルタ便 ANAはガルーダと提携 JALファーストクラス

 ビジネス客が多く高単価の「ドル箱路線」東京〜ジャカルタ便で、航空各社が優位に立つためさまざまな戦略を取っている。羽田便を抑え、提携を決めた全日本空輸(ANA)と国営ガルーダ航空に対し、日本航空(JAL)は高級路線で差別化を目指す。日本政府によるビザ緩和、インドネシア政府による観光ビザ免除など両国の政策を追い風に、増加する旅客獲得競争は激しさを増しそうだ。  

 「非常に厳しい競争環境だ」。10月にインドネシアを訪問したJALの植木義晴社長はジャカルタ〜成田便について漏らした。
 ジャカルタ〜成田便を毎日1便運航していたANAとガルーダ航空は、今年の羽田空港の発着枠拡大に伴いジャカルタ便を就航。羽田便を得ることができなかったJALは、成田便を1日1便から2便に増やした。これで、3社の東京とジャカルタを結ぶ便と供給席数が倍増した。
 一般的にビジネス客の単価は高く、観光客は低い。東京〜ジャカルタ便は観光客が少ない一方、近年の両国の経済関係の強化を背景にビジネス客が急増。世界的に単価が高い「ドル箱路線」となっている。今後さらに関係が深まるにつれ、ビジネス客だけでなく観光客も増えるとみて各社は戦力を集中させている。
▽知名度を向上
 ANAとガルーダ航空は昨年12月に包括提携を発表。共同運航(コードシェア)やマイルの相互利用を決めた。
 提携の狙いは両社とも相手国での知名度上昇だ。提携により、ガルーダ航空の特定の地方路線に「ANA」の文字が表示されるようになった。「ANAは実質インドネシア国内の地方線へ飛ばしていることになり、大きな宣伝効果が見込める」(ANAジャカルタ事務所・川崎三喜男所長)。日本で知名度向上を狙うガルーダ航空も日本での同様の効果を見込む。
 ガルーダ航空は強みのインドネシア人観光客を強化する。栗崎健・日本企業担当アカウントマネージャーによると、同社はインドネシア人観光客の割合が比較的多く、さらに増やすため山梨県や愛媛県などと提携し、地方の知名度を高めながら観光客を送ることに力を入れている。
 「日本人客に関しては日系2社を追いかけている」(栗崎氏)が、日本食の導入や日本で販促イベントを開くなどしてアピール。日本人観光客はこれまでバリに集中していたが、政府と連携して他の地方の観光を宣伝しており、ロンボク島やコモド島へも少しずつ増えているという。
 ガルーダ航空は唯一、デンパサール便を運営しているほか、昨年にはジャカルタ〜関西便を就航、来年にはジャカルタ〜中部便を就航するなど路線を拡大させている。
▽トップセールス
 業界関係者は「植木社長の来イ目的は『ANAに負けたくない』という意思表示とトップセールスではないか」と話す。
 羽田枠を得られず、2社に提携されたJALが成田〜ジャカルタ便で使用すると発表したのが、座席数を抑えて1席当たりのスペースを広くとり、ファーストクラスも備えた「スカイスイート777」だ。東南アジア路線ではANAを含めても、ファーストクラスを運航するのはJALのジャカルタ線のみ。秘密兵器の投入で巻き返しを図る。(堀之内健史)                                      

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