地方自治の先例紹介 「幸せの国」ブータンに 内務省とJICA

 インドネシア内務省と国際協力機構(JICA)は先月末から今月九日までの日程で、JICAが地方行政の能力向上を支援しているブータンの内務文化省職員や地方首長らを招き、同じくJICAが行っているスラウェシ地域開発能力向上(キャパシティ・ディベロップメント=CD)プロジェクトを実例に地方分権化・地方自治の仕組みを紹介する技術交換研修を行った。八日にはブータンの訪問団が中央ジャカルタの内務省を訪れ、スラウェシ各地の視察の結果を報告し、両国の地方自治の現状について意見交換した。スハルト政権退陣後の約十年の経験を、民主化や地方分権化を進める各国と共有する取り組みの一環だ。

 ブータンは国王を中心とした中央集権的な体制が続いていたが、一九八一年に三千―十万人規模の県で、一九九一年に三千人規模の地区でそれぞれ議会を創設。二〇〇八年に初めて公布された憲法で地方自治に関する規定が明記されるなど段階的に地方分権化を推進。予算や権限の地方自治体への移行を進める中、政策を立案・実施する行政官の育成が急務となっている。
 訪問団は、南スラウェシ州マカッサルのJICAマカッサル事務所でプロジェクト概要を聞いた後、CDプロジェクトで行政と地域住民を仲介するファシリテーターを育成してきた東南スラウェシ州ワカトビ県などを訪問。外からモノや技術を持ち込むのではなく、住民が自らのニーズを把握し、自発的に地域開発を行っていく現場を直接見て回った。
 ブータン内務省のカルマ・ガライ氏は「自治体の財源が乏しい点が共通しており、ファシリテーターの役割は非常に重要だ」と強調。訪問した各自治体が環境に配慮した開発を探っていることから、「国民総幸福量(GNH)の考え方にも合致する」と振り返った。
 CDプロジェクト・リーダーの佐久間弘行氏は、一九九八年のスハルト政権退陣後から進んだインドネシアの地方分権化の取り組みは「ほかの途上国にとって非常に良い先進事例になっている」と説明。
 通算十四年ブータンに住むブータン地域行政プロジェクト専門家の津川智明氏は「日本は行政に頼りすぎてしまうところがあるが、ブータンは人々や地域のつながりが強く、共同作業がやりやすい。日本の地方自治も地域のつながりをいかに作るかが重要なのでは」と語った。

◇ブータン
 中国とインドの両大国に囲まれた人口七十五万二千七百人の内陸国。国教はチベット仏教。先月中旬には結婚したばかりのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王が来日して話題になった。国内総生産(GDP)を指標に経済発展を最優先に志向する考え方に対して、持続可能な開発や環境・文化の保護、グッド・ガバナンス(良い統治)を柱とする「国民総幸福量」(GNH)を政策の指標として掲げていることで知られ、「幸せの国」として注目が集まっている。日本政府は今月五日、「幸福度指標」の試案を発表した。

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