強硬派の解散を勧告 国家警察長官 アホック氏抗議激化で
スタルマン国家警察長官は10日、ジャカルタ特別州のアホック副知事の知事昇格に反対する強硬派団体・イスラム擁護戦線(FPI)をめぐり、過激なデモを続けるなど社会不安を引き起こしているとして、解散させるよう法務人権省に勧告したと発表した。
スタルマン長官は「デモは意見を表明するための国民の権利だが、暴動を引き起こすようであれば阻止するための法的措置を講じる」と明言。「暴力を使って問題を解決することはできない」と強調し、警視庁からFPIの解散を勧告する文書を法務人権省に提出したと明らかにした。
ガマワン内相はFPI解散について、昨年制定した市民団体法を適用することができるとの見解を表明。同法に基づき、法務人権省が裁判所に訴え、同法違反の罪で解散の可否を判断する必要があると説明した。
FPIは先月以降、州議会前などでアホック氏の知事昇格に反対するデモを続けている。犠牲祭を控えた3日には、食肉処理の規制をめぐりアホック氏を非難するデモが暴徒化。州庁舎に投石するなどして警官隊と衝突し、警察官16人が重軽傷を負った。警視庁はFPIのメンバー21人とジャカルタ支部長を器物破損などの容疑で逮捕した。
一方でFPIはデモを続行し、10日午後にも州庁舎前に約150人が集結。規模は縮小したが、華人でキリスト教徒であるアホック氏が、ムスリムが多数派のジャカルタの知事になることに異議を唱えた。デモ隊のジャファール・ソディック氏は「毎週金曜に州庁舎前でデモを続けていく」と話した。(山本康行、写真も)