同性愛むち打ち刑に波紋 「自由と平等脅かす」 NGO 人権団体が批判 アチェ

 国内34州のうちで唯一イスラム法の適用が認められているアチェ州議会は先月27日、同性愛行為をむち打ち刑にする条例改正を全会一致で可決した。条例は非ムスリムや観光客にも適用され、人権団体などは「自由と平等を脅かす」と批判を強めている。

 条例は婚前の同性愛行為にむち打ち、婚姻後の場合は石打ちと規定していたが、両者ともむち打ち刑に改正。違反した場合、最高100回のむち打ちまたは純金約1500グラムの納付、100カ月以上の禁錮刑などが科される。むち打ち刑ではトウ製のむちを使用し、公の場でたたかれる。痛みは比較的少ないが、公開の場で執行することで条例違反抑止を狙う。条例には同性愛行為を自己申告した場合にむち打ち回数を5回減らすなどの処置も盛り込んだ。
 州議会は同性愛行為の他に婚外性交渉も条例で禁じ、同様のむち打ち刑に処すことを決めた。モハリアディ・シャファリ議員は条例の制定について、日常生活におけるイスラム法順守をより強化すべきだと説明した。
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW=本部ニューヨーク)アジア上級調査員フェリム・カイン氏は、条例を「インドネシアの憲法に反するだけでなく、拷問などに関する国際人権法にも反している」と厳しく批判している。アチェの人口約480万人のうち大多数はムスリムで、約9万人が非ムスリム。外国人を含む州外出身者や非ムスリムなどにも条例を適用し、アチェ州における同性愛行為をすべて取り締まるという。カイン氏は「アチェにいる人だけがむち打ちになるのは平等ではない」と指摘し、ジョコウィ次期大統領に条例について国全体で検討すべきだと訴えている。
 アチェ州議会では2001年、イスラムの聖典コーランや預言者ムハンマドの言行録「ハディース」を根拠とするイスラム法に基づいて宗教条例の制定を始めた。同州では女性に体のラインが出るようなズボンの着用を禁じたり、婚前前の男女間の恋愛も禁止するなどの条例もある。(西村百合恵)

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