「インドネシア鉄道の旅」を出版 全4000キロ乗り潰す 在スラバヤ総領事館の古賀俊行さん

 在スラバヤ総領事館首席領事の古賀俊行さん(42)がこのほど、「インドネシア鉄道の旅」(発行・潮書房光人社、税別1900円)を出版した。10年かけて国内全路線4千キロを「乗り潰した」という壮挙で、古賀さんは「インドネシアの新たな一面を知るきっかけになれば」と話している。

 景色を変えながら疾走する鉄道のカラー写真が巻頭十数ページを飾り、インドネシアの鉄道の歴史から、森林鉄道や日本の中古電車の活躍、駅弁や食堂車から車窓に広がる風景まで詳細に描いている。
 例えば中部ジャワ州の森林鉄道。運んでいたチーク材の枯渇などで2002年に廃線になるが、07年観光用のチャーター運転が再開された。ジャカルタの邦人グループでチャーターして乗り込んだ。もちろん蒸気機関車だ。機関室にも入れてもらって、森の中を走った報告は楽しい。こういう体験談が盛りだくさんだ。実際に見聞きしたことを元に書かれていることが、何よりの魅力だ。
 また、切符の買い方から車内販売の利用まで説明し、汽車旅の楽しみ方が詰まってて、鉄道に詳しくない読者にもなじみやすい。

■子どもの時からマニア
 古賀さんは、小さい頃から鉄道が好きで、学生時代は駅員補助のアルバイトで切符切りをするなど、鉄道が身近な生活を送ってきた。03年1月にジャカルタに赴任した時、都営地下鉄三田線の中古電車が市内を走り始めて、たいへん驚いたという。東京、ジャカルタは姉妹都市という縁で、無償援助されたのだった。 鉄道を通じ、学生時代と今も変わらないのは、「人が知らないところに足を運び、発見することが好き」ということ。一時、旅行会社で働くことも考えたといい、その視点が、ガイドブックとしても頼りになる一冊に仕上がった理由の一つとなっている。
 巻末には、旅で使える会話・単語集や路線図、「インドネシア国鉄PT・KAI全線時刻表」が並ぶ。
 列車番号、営業距離数、発着時間など、日本でなじみのある形式の時刻表は、古賀さん自身が国鉄から情報を集めながら作成した。
 出版直前まで正確性を高めるため、ダイヤ改定と格闘した時刻表について「コンプリートしたかったから」と笑顔で話す。
 「『インドネシアの鉄道旅って案外いいものですね』と言う邦人は多いです」と古賀さん。インドネシア国内を駆ける日本の中古車両数が増加する一方、世界でほぼ唯一現存する製糖工場の蒸気機関車「シュガートレイン」は減少するなど、鉄道は刻一刻と姿を変えている。発展と衰退の入り交じったその姿に、古賀さんは「仕事や日常生活だけでは知り得ないインドネシアの魅力が秘められています」と話している。(臼井研一)

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