会話を通じて交流を 武部さん、新刊会話本を出版

 インドネシア語会話本としてベストセラーとなった「旅の指さし会話帳インドネシア」の著者で中央ジャカルタ在住のライター、武部洋子さんがこのほど4冊目となる会話本、「単語でカンタン!旅行インドネシア語会話」(発行Jリサーチ出版、定価1200円)を日本で出版した。

 「単語でカンタン!旅行インドネシア語会話」はハンディサイズで本文中の会話が吹き込まれたCD2枚(合計68分30秒)が付いている。総ページは176。内容は「Minta〜」(〜をください)「Saya mau〜」(〜が欲しいです)などまず覚えておきたい基本の10フレーズから始まり、機内・空港、宿泊、飲食、買い物などシチュエーション別に会話例文が載せられている。旅行でインドネシアを訪れる読者を対象にした構成だが、値切り交渉の仕方や家族を愛するインドネシア人への接し方など経験に基付いたコラムも盛り込まれている。
 「旅行中にどんどん話かけてもらいたいです。インドネシアの方は皆フレンドリーですから応じてくれます。かたことでもぐっと距離が縮まります」と武部さん。新刊は基本の定例会話文を提示し、そこに日常的に使用する単語を入れ替えて応用できる構成となっている。単語もジャカルタ生活21年の武部さんが「今実際に使われている表現」を選んだ。女性が着るノースリーブを「you can see」と紹介するなど、生きた言葉が掲載されている。「外来語を取り入れたりするしなやかさとユーモアがある所がインドネシア語の面白さです」。
 武部さんは1969年東京生まれ。上智大学在学中にバンドンの国立パジャジャラン大学に留学、卒業後の93年から現在までジャカルタで生活している。漫画「コボちゃん」のインドネシア語版翻訳など出版や広告の世界で仕事をしてきた。98年初の会話本「旅の指さし会話帳インドネシア」(情報センター出版局)を著し、現在までに累計10万部を超す大ヒット作となっている。学問的にインドネシア語を研究してきた訳ではないが、「本当に使える言葉」が満載されている点が武部さんの会話本の魅力だ。
 現在は自称「ジャカルタ流行観察家」としてインドネシアの文化を多方面に発信している。17歳と9歳の女の子二人の子の母親でもある。「日本人の奥さんから、現地の方にお悔やみの言葉をどうかけたらよいのかなど相談されることもあります」と話す。
 今後、これまで体験したインドネシアの話をウェブ上で公開していく予定だ。「音楽やファッション、旅を切り口にしてインドネシアに親しみをもってもらいたい」という。一番気になるインドネシア語は「Aduh(アドゥ)」(困った時の感嘆の意。やばいなど)だ。「よく使いますね」と笑った。(阿部敬一、写真も)

生きた言葉が必要 短期商用者向けにも
 中央ジャカルタ・スナヤンの紀伊國屋書店のインドネシア語会話本棚の一番上の段に武部さんの著作が並べられている。「会話本では去年一番売れました」と同店アシスタントマネージャーの清水洋江さん。その人気の理由として、「イラストを多用し女性が気軽に手に取りやすい」と話す。
 駐在員は会社では基本英語を使用する。奥さんたちはメイドさんや運転手さんとの日常会話のために簡単なインドネシア語を必要としている。「本格的なインドネシア語学習書よりも生活レベルですぐ使える本が望まれているのでは」と分析する。
 「単語〜」の発売をしたJリサーチ出版は言語別に世界各国の会話本を発行している。今回のインドネシア語版の初版部数は3000部。これは他のアジアの国の会話本と同数だ。「インドネシアには観光とは別の短期商用で訪れる方も増えているので潜在的な需要は高い」(編集担当の浅見有里さん)と期待している。また「言葉には流行り廃りがある。本当に使える言葉を武部さんは御存じなのでお願いした」(同)と話した。

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