5年に1度の大洪水も 来年初頭、降雨ピークに  大統領「首都圏の対策確実に」

 十月に発生したタイの大洪水など、今年の大雨による影響が深刻化する中、インドネシア国家災害対策庁(BNPB)や気象地理物理庁(BMKG)はこのほど、雨期による降雨のピークは来年一―二月となり、例年より多い降雨量が予想されると警鐘を鳴らしている。特にジャカルタでは、二〇〇二年、〇七年と五年ごとに大洪水に見舞われており、ユドヨノ大統領は二十五日、災害予防閣議を主宰、「災害リスク減少のために最大限の努力をしてほしい」と述べ、首都を中心とした洪水対策を早急に講じるよう指示した。

 災害対策庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ広報官によると、二〇一二年一―二月に洪水が最も警戒されるのは、ジャカルタ特別州、ジョクジャカルタ特別州ムラピ山周辺、中部、東ジャワ両州のソロ川(ブンガワン・ソロ)流域、西ジャワ州チタルム川流域の四地域。
 予報では、気象地理物理庁が三十年間調査した降雨量の平均を「ノーマル(通常)」とした場合、来年の一月の降雨量は、通常に対し最高度に当たる「サンガット・ティンギ(非常に高い)」で、月平均降雨量四百一―五百ミリが予想されている。
 ストポ氏は、首都圏が〇二年、〇七年と五年ごとに大雨と大洪水に見舞われており、五年ごとに発生する傾向にあり、来年の雨量増加予測から大洪水になる可能性があるとの見解を示した。
 〇二年一月末―二月にジャカルタで起きた洪水では、三十二人が死亡、四万人が避難民となり、四十万人に影響が出た。経済損失は五兆―七兆ルピアで、中央ジャカルタ・スティアブディのホテル・リージェント(現ホテル・フォーシーズンズ)はホテル内まで浸水し、一年半の営業停止を余儀なくされた。
 〇七年一月末―二月の大洪水では四十八人が死亡、約三十二万人が避難民となったほか、経済損失は十兆―十二兆ルピアに上った。インターネットや携帯電話、交通はまひ状態となり、中央ジャカルタ・ドゥクアタスの立体交差などでは、一時水位が二メートルまで達した。

■隣国首脳からも注意
 気象地理物理庁などの予測を受け、ユドヨノ大統領は二十五日の閣議で、関係閣僚に洪水対策を急ぐよう指示。必要な大臣令や大統領令案を今週中に用意し、提出するよう求めた。
 大統領は、今月十七―十九日までバリ島で開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会合(サミット)に参加した際、「タイなどの首脳からも、今回の雨は過去数十年で最大の規模で、十分注意するよう言われた」と説明。「来年の降雨量は例年より増えることが懸念されている。ジャカルタ特別州知事は、早急に対策を確実なものしてほしい」と強調した。
 ファウジ・ボウォ州知事は、〇七年の洪水の際には、州内七十八カ所で対策が不足していたが、現在洪水が懸念されるのは六十二カ所と減少していると説明。公共事業省と協力し、東ジャカルタのバンジル・カナル・ティムール運河やチリウン川周辺に居住する住民らの移転を進める方針を示した。また今年中にも、北ジャカルタ・スンタル川、アンケ川、南ジャカルタ・プサングラハン川の流域を整備し、東ジャカルタ・ハリムなど七カ所で排水ポンプの設置なども進める。
 同州はこれまでに、洪水対策のマスタープラン「ジャカルタ緊急浚渫(しゅんせつ)イニシアティブ」を策定。約四割の土地が海面よりも低い場所にあり、州内を流れる十三の河川周辺の洪水対策や、タムリン、スディルマン通りなど主要道路の排水溝整備を進めてきた。
 同州公共事業局水資源強化課は、十二月十五日までに、スディルマン通り東部(セノパティ―ジャカルタ警視庁)、同通り西部(ラトゥプラザ前)、アトマジャヤ大学周辺、スマンギ立体交差道路下部、ブンドゥンガン・ヒリル(通称ベンヒル)通り、パンゲラン・ジャヤカルタ通り、ドゥクアタス周辺の排水溝整備を完了させることを目標にしている。



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