元鉄道総局長に禁固3年 汚職特別法廷 住商の中古電車輸入事業 省内の反対無視し強行

 インドネシア運輸省が二〇〇六年から〇七年にかけ、日本から中古電車の車両を購入した事業に絡み、輸送費を不正に水増しして国庫に約二百億ルピア(約一億六千九百万円)の損害を与えたとして、汚職罪に問われた同省の元鉄道総局長スミノ・エコ・サプトロ被告(六四)の判決公判が二十八日、南ジャカルタ・クニンガンの汚職特別法廷で開かれ、裁判長は禁固三年、罰金一億ルピア(約八十五万円)(求刑同五年、同一億五千万ルピア)を言い渡した。スミノ被告は控訴を検討している。

 判決によると、被告は二〇〇六年、住友商事を通じ、中古車両計六十両の購入を決定。同年十二月以降、日本から計五十両がジャカルタに到着したが、国鉄が以前、日本から購入した中古車両より価格が高く、被告らが水増し請求したことが発覚、残り十両の輸送は中断された。
 汚職撲滅委員会(KPK)は起訴状で被告が中心となり、車両輸入事業を進めたと指摘。高額の車両価格を設定し、入札を実施せずに受注業者を直接指名するなど、物資調達に関する大統領令(二〇〇三年八〇号)に反するとして、入札委員会や他の運輸省高官が反対した経緯を重視した。
 被告が省内の反対意見を無視して輸入事業の契約を締結したこともあり、同案件の検査を実施した金融開発監査院(BPKP)は「独自の追加検査をする必要がある」と判断。この報告を受け、ハッタ・ラジャサ運輸相(当時、現・経済担当調整相)は二〇〇七年六月、被告に対し、大統領令に沿った入札を実施するよう命じる警告書を突き付けたことがあった。その後、被告は契約書を数回更新するなどして車両輸入を強行した。
 事業に絡み、KPKは、住商に十八億九千五百万ルピア(約千六百万円)、輸送会社のKOGジャパンに百五十億ルピア(約一億二千七百万円)、KOGインドネシアのマヤ・パンドゥウィナタ代表に二十億ルピア(約千七百万円)の不正資金が渡ったと指摘していた。

■日本の警視庁と連携
 同事件では、インドネシアで事業を展開する外国系企業幹部が初めてKPKの捜査対象となった。KPKは昨年八月、南ジャカルタ・スミットマス・ビルにあるインドネシア住友商事を家宅捜索。同年一月には住商の関係者を参考人として事情聴取していた。
 日本の警視庁も外国公務員の賄賂を禁じた不正競争防止法に違反する可能性もあるとみて、KPKと連携して捜査を展開。昨年にはKPKが捜査班を東京へ派遣、警視庁の捜査に協力していた。
 KPKのジョハン・ブディ報道官はじゃかるた新聞に対し、これまで訴追したのは元鉄道総局長のスミノ被告のみで、容疑者に断定した関係者はほかにはいないと説明。同被告の有罪判決を受け、関係者の捜査を進展させることもあり得るとし、日本側との捜査連携については「要請があれば情報を提供していく」と語った。
 ジョハン報道官は、損害額十億ルピア(約八百五十万円)以上の大型汚職事件に特化して捜査するKPKについて「あくまで不正を行っているインドネシアの政府高官を摘発するのが目的」と強調。汚職事件に絡み、KPKが外国人を訴追する権限はなく、事件の概要を説明してもらうため、参考人として事情聴取するにとどまるとの立場を説明した。
 汚職撲滅を掲げてきたユドヨノ政権下で、汚職の巣窟と批判される既存の捜査機関から独立する形で設置されたKPKは、政府高官や国会議員に絡む大型汚職事件を次々と摘発。与野党問わず、閣僚をはじめ連立を形成する複数の政党幹部の関与疑惑も追及している。
 ユドヨノ大統領の出身母体の民主党幹部アンディ・マラランゲン青年スポーツ担当国務相や、民族覚醒党(PKB)党首のムハイミン・イスカンダル労働移住相らの関与も問題視され、次官ら部下がすでに訴追されている。
 中古車両輸入事業では、ユドヨノ大統領の腹心のハッタ調整相や同調整相の弟、出身政党の国民信託党(PAN)幹部らの名前も取りざたされたが、これまで関与は立証されておらず、不正告発には政治的思惑が働いているとの見方も出ている。



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