【火焔樹】 飼い主の責任

 狂犬病対策に熱心なバリ島の動物愛護団体を取材し、「狂犬病を防ぐには飼い主が責任を持って犬を飼うこと」というスタッフの話を原稿にまとめようとした矢先に、うちの飼い犬が宅配人に噛み付いた。
 これまで激しく吠えることはあっても、噛み付くのは初めてだ。幸い、皮膚がうっすらと赤くなっただけだったので「狂犬病の予防接種はしているので大丈夫です」と話し、帰ってもらった。が、接種記録を見ると有効期間が五カ月も過ぎていた。翌日、獣医に事情を話すと「狂犬病なら遅くとも二週間で死ぬので、様子を見るように」と言われた。
 バリ島では狂犬病の疑いで新たな死者が出たばかり。この老人は亡くなる数カ月前に犬に手を噛まれたが病院で注射などの処置は受けなかったそうだ。バリ州政府は狂犬病発生当初、野犬の駆除を行い、多くの犬が吹き矢で毒殺された。私は犬が大好きというわけではないが、体が硬直した犬の死骸が街角に積まれているのを見たときは、もっとほかに方法はないのかと思った。
 現在、バリ州政府は予防接種に加え、野犬の断種手術にも乗り出した。動物愛護団体らの粘り強い働きかけが実ったと言える。
 あれから二週間。うちの「クロ」は相変わらず自分の好みで吠えたり、しっぽを振ったりしている。狂犬病ではなかった。
 クロはミニチュア・ピンシャーとバリ犬の雑種だ。ミニピンはそもそもネズミなどを駆除する使役犬として改良された品種。小さい体ながら性格は大胆で、自分より大きな相手にもひるまない。バリ犬が混じっているとはいえ、クロにはミニピンの血が十分引き継がれていたようだ。短い一生、こんな性質も頭に入れながら、責任を持って飼うからね。(北井香織)

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