大学間交流が活発化 多分野で共同研究 法律や災害復興 

 日本とインドネシアの大学が協定を締結し、学生交流や共同研究を活発化させている。2012年に始まった日イ学長会議が昨年12月、インドネシアで初めて開催され、法律や災害復興など多分野で盛んになる大学間交流を後押ししている。
 名古屋大はこのほど、学術交流協定を結ぶジョクジャカルタの国立ガジャマダ大(UGM)の法学部と協働で法律研究センターを設立した。インドネシアに進出する日系企業などと連携し、企業活動を支援する弁護士や人材不足に悩む裁判官の育成など、法律分野の教育体制拡充を図る。UGMには名古屋大の特任講師1人を常駐させ、セミナーや集中講義を開講するという。
 今後はベトナム、モンゴルの大学に同センターを設置する計画もあり、インドネシアを皮切りにアジア地域の大学で法整備支援を展開する。名古屋大の担当者は「将来的には日中韓、東南アジア諸国を含めた大学間連携を展開していく」と力を込める。
 日系企業との産学連携では、愛知県立大が昨年、UGMの学生25人を対象にした人材育成事業を開始した。同大の日本語専門家を派遣し、理工系の学生を中心に日本語などを教える。日本でのインターンシップも予定し、企業風土への理解を深めてもらう。
 同大とUGMは10年に全学協定を締結。11年には文学部日本語学科の学生約70人を対象に日本語教育集中講義を、高校時代に日本語を第二外国語として学んだ学生対象に日本語再教育プログラムを実施している。
 熊本大は昨年11月、東ジャワ州スラバヤの国立アイルランガ大と連携強化に向けた覚書、スラバヤ工科大(ITS)と修士レベルでの共同学位プログラムをそれぞれ締結した。スラバヤを訪れた谷口功学長は「インドネシアの大学機関との関係を深化させていきたい」と意気込む。
 ほかにも昨年、大阪大はUGM国際関係学部内に、災害復興コミュニティー構築に関する共同研究をするためのサテライト教室を設置。明治大は、西ジャワ州デポック市にあるインドネシア大(UI)と学生交流の促進を目指す協力協定を締結した。
 11年時点で、日本とインドネシアの大学が締結した協定数は約440件。日本留学した講師の個人的なつながりから大学間の協力関係構築に至るケースが多く、文科省の短期留学制度を利用する大学も増えているという。
 両国の大学間交流を促進するため、日イ学長会議が12年、名古屋大で初めて開催され、留学生派遣や研究者の共同研究などを通じて連携強化を目指す「名古屋宣言」を採択した。
 昨年12月にはインドネシアで同会議が開かれ、日本から21校、インドネシアの43校が参加した。会場となったUGMのプラクティノ学長は「二国間で研究や学生の交流など包括的に連携していきたい」と話した。(小塩航大)

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