モノレール再開を模索 資金調達がカギ 州と水面下で接触 日系とも連携模索 国営アディ・カルヤ社

 「2015年に開業できる」。昨年9月に打ち切りとなったジャカルタ特別州が主体をなって進めていたモノレール計画を再開させることをねらい、国営建設会社のアディ・カルヤ社が国営企業担当国務相事務所や州政府と水面下で接触している。バスレーンに次ぐ新しい市民の足にしようとスティヨソ前州知事の肝いりで03年に浮上した同計画は、資金調達で迷走を続けて頓挫。交通渋滞緩和への住民の期待に応えていない州は、事業者側に資金調達面での透明性の高い説明を求めた上で協議再開について慎重に検討を行うものとみられ、計画の再開は難航しそうだ。(岡坂泰寛、写真も)

 14日夕、中央ジャカルタ・スナヤンにある国会議事堂の裏通り。モノレール建設のために立てられた高さ10メートル以上の鉄筋コンクリート製の支柱数十本が、ケーブルテレビの広告が貼られたり、落書きがされたりした状態で中央帯に放置されていた。通りは帰宅する通勤車両で渋滞しており、自動車や二輪車の往来の妨げにもなっている。
 道路脇には、コンクリートで固められる前の鉄筋むき出しの状態になったままの支柱もあり、ところどころさび付いた鉄筋がへし折られた跡がある。近隣住民によると、何者かが鉄くずの買い取り業者に売って金を得るために、無断で持ち去っていくのだという。
 頓挫したモノレール計画では、ビジネス街を環状に回るグリーンライン(14・3キロ)と東ジャカルタのカンプン・ムラユと西ジャカルタ・ロキシを結ぶブルーライン(13・3キロ)の建設を予定していた。完成すれば1日当たり16万人以上を輸送能力を有するとして、渋滞緩和に期待の声が上がっていた。
 国内外の企業によるコンソーシアムであるジャカルタ・モノレール社がモノレールの建設・運営権を与えられ、2004年に着工。しかし、民間銀行などからの融資の取り付けや投資家からの資金獲得が難航し、資金調達が暗礁に乗り上げた。州政府は総工費の30%を拠出する計画だった。
 州政府はジャカルタ・モノレール社との契約をすでに解消している。アディ・カルヤ社はコンソーシアムに対して7・5%出資し、参画していた。
 アディ・カルヤ社が現在進めている計画では、中央ジャカルタのタナアバンと南ジャカルタ・スマンギのスディルマン・セントラル・ビジネス地区(SCBD)を結ぶ全長13キロの路線を建設する。
 同社モノレール計画コーディネーターのドゥドゥン・マウラナ氏は14日、じゃかるた新聞の取材に対し、「2015年に運行を開始する」と説明。国営高速道路管理・運営会社ジャサ・マルガ社や国営鉄道製造会社のインドゥストゥリ・クレタ・アピ(インカ)社、国営電力会社PLNと事業協力を模索していることを明らかにした。
 ドゥドゥン氏は「日系企業の参加もあり得る」と話した。資金面では現在、同社内で調達案の策定を進めており、近く原案をまとめて州政府側に報告する。
 ジャカルタ特別州知事選の第1回投票を首位通過したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)氏は、建設再開について積極的な姿勢を見せている。

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