暴力組織摘発で成果 350人以上を逮捕 西ジャカルタ署の即応部隊

 警視庁西ジャカルタ署の「対暴力組織即応部隊」が成果を上げている。発足した3月以降、350人以上の構成員を逮捕。発砲を辞さない姿勢を示すことで「強い警察」を市民にアピールするのが狙いだ。暴力組織追放を目指す取り組みを追った。
 「オートバイのクレジット決済で、取り立て人に暴力を振るわれた」「購入したはずの土地に見知らぬ男が居座っている」。西ジャカルタ区では土地紛争や債権回収に暴力組織が関わる事件が多発。西ジャカルタ署には1日少なくとも1本、こんな通報が寄せられる。
 9月15日朝、同区の路上に露天商の女性(46)が裸で倒れているのが見つかった。女性は暴力組織に求められたみかじめ料を断り、乱暴されていた。監禁先の住宅から自力で逃げ出したところだった。
 通報からすぐ、区内各所に完全武装の警察部隊が現れた。部隊は「グラカン・ラクヤット・インドネシア・バル(GRIB)」の19人を暴行の疑いで逮捕。逃げようとした1人には足を銃撃し拘束した。
 部隊は組織構成員の逮捕だけでなく、被害者の保護に力を入れる。暴力組織による犯罪で、報復を恐れる被害者が告訴を取り下げる例が後を絶たないのに対し、裁判所や自宅まで警護することで立件を目指す。
 部隊発足の契機はヘルクレス・ロザリオ・マルサGRIB代表の逮捕だった。3月8日、西ジャカルタ署は自営業者から金を脅し取った同代表を逮捕しようとしたが、構成員50人が阻止。警視庁の応援を受け、ようやく身柄を拘束した。
 暴力組織の摘発が抵抗に遭うという事態を受け、西ジャカルタ署は刑事課から捜査能力に長けた30人を選出し、独自に部隊を組織。隊員はオートバイでの犯人追跡や銃器の取り扱いについて、対テロ特殊部隊から指導を受けている。
 専門部隊を指揮する西ジャカルタ署のヘンキ・ハルヤディ刑事課長は「市民は暴力組織が恐くて我慢を強いられてきた。弱い人が泣きを見る社会は許さない。暴力組織を街からなくすため、強い姿勢で臨まなければならない」と話した。(上松亮介、写真も)

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