SEAゲーム開幕 東南アジアの選手集結 南スマトラ州パレンバン
一九九七年以来、十四年ぶりのインドネシア開催となる第二十六回SEAゲーム(東南アジア選手権大会)が十一日、開幕した。アジア通貨危機を乗り越え、スハルト独裁政権崩壊後、約十年で民主化を推し進め、経済成長を軌道に乗せた新興国として注目を集めるインドネシア。今年議長国を務める東南アジア諸国連合(ASEAN)の盟主、スポーツ祭典のホスト国として、二〇〇九年の金メダル四十三個から目標を大幅に引き上げ、約百二十個の獲得を目指す。東南アジア十一カ国のアスリート約五千人は二十二日まで、計五百四十二個の金メダルをめぐり、激戦を繰り広げる。
十一日午後七時、花火とレーザーの華麗な前奏曲が南スマトラ州パレンバンの夜空を彩った。スリウィジャヤ競技場でアジアのスポーツ祭典が開幕。パレンバンの歴史を振り返る演出から始まり、インドネシア各地の伝統衣装に身を包んだ学生ら約三千人が伝統舞踊を取り入れたダンスを披露した。
競技場の地面には、パレンバンのソンケット(縫い取り織り)やパレンバン市内を流れるムシ川、雄大な広野の映像が次々と投射され、来場者を感動に包んだ。インドネシアの人気歌手アグネス・モニカらは公式テーマ・ソング「トゥゲザー・ウィル・シャイン」を披露した。
東南アジア十一カ国の選手団は、インドネシアのコモドドラゴン、ボロブドゥールをはじめ、カンボジアのアンコールワット、シンガポールのマーライオンなど、各国を代表する文化遺産や記念物の造形物とともに入場、一堂に会した。
開幕式は、総額千五百億ルピアの演出費を投入した。一九九四年サッカー・ワールドカップや二〇〇八年北京オリンピックを手がけた米国企業が演出を担当。十二日からハワイで行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を控えたユドヨノ大統領はアニ夫人、アンディ・マラランゲン青年スポーツ担当国務相と出席した。開幕のあいさつで、大統領は成長を遂げる東南アジアの経済を強調、「友好関係のさらなる深化が重要だ。スポーツを一つの方法として、地域の安定、進歩を目指そう」と呼び掛けた。
スリウィジャヤ競技場の入場口前には午後三時ごろから、観客数千人が駆け付けた。会場で記念撮影をしたりして、開幕を待った。競技場がある複合型スポーツ施設「ジャカバリング・スポーツ・シティ」内では、自動車の通行が制限されており、実行委員会は、無料の自転車貸し出しサービスを展開。アスリートをはじめ、来場者らは三百二十五万平方メートルの広大な敷地内を緑や赤と色とりどりの自転車に乗って移動している。
■初の金はカヌーで
大会初日には、ジャカルタでカヌーレース、サッカー、パレンバンで水球、チェスの試合がそれぞれ行われた。
西ジャワ州カラワンのチプル湖カヌーレース競技場で行われたカヌーレースで、インドネシアは金メダル二個を獲得。男子個人千メートルでエカ・オクタロリアヌス、男子ダブルス千メートルでエカとアンワル・タラが激戦を制した。
中央ジャカルタ・スナヤンのブンカルノ競技場では、サッカー男子のU―23(二十三歳以下)のインドネシア対シンガポール戦が行われ、インドネシアは二―〇と快勝した。七日もカンボジアとの初戦を六―〇で完勝、順調な乗り出しを見せている。
◇SEAゲーム
東南アジアのスポーツ祭典として、タイ、ミャンマー、マレーシア、ラオス、南ベトナム(ベトナム共和国)、カンボジアの東南アジア六カ国を中心に、一九五九年バンコクで初めて開催された。以来、二年に一度開催。インドネシアは七七年に正式加盟し、これまでにホスト国を三回務めた。東南アジア地域の友好、理解、平和と、オリンピック・ムーブメント(スポーツを通じた世界平和を目指す運動)の振興を目的とする。