7万人が立ち往生 パスポート戻らず サウジの出稼ぎ労働者

 サウジアラビア政府が外国人不法就労者の摘発を本格化させたことに絡み、7万人を超えるインドネシア人労働者が立ち往生している。インドネシア政府はサウジ政府と折衝にあたっているが、雇用主に旅券を預けたまま滞在手続きも出国もできない労働者が多く、潜伏生活を余儀なくされている。 
 日刊紙コラン・テンポは11日、現地インドネシア公館に寄せられた持ち主不在の旅券が7万7千通に達すると報道。サウジ政府は、速やかな帰国か正規の滞在手続きをとることを不法滞在者に求めているが、旅券がなくてはどちらの選択肢をとることもできず、多くが潜伏生活を続けているとみられる。
 サウジアラビアでは、外国人労働者は「身元保証」の名目で、雇い主らに旅券を預けた上で就労することになっているが、返却されないまま失踪する労働者が大勢いるという。本人が行方不明になったため、雇用主がインドネシア大使館や領事館に届け出た旅券は7万7千通に達したという。
 労働者が逃げ出す背景には、過酷な労働などを理由に帰国を申し出ても、なかなか受け入れられない現状があるとみられている。同紙は運転手として働いていたが2011年に逃げ出して以降、不法滞在を続けているインドネシア人労働者の声を紹介した。
 サウジアラビアは人口の3割近くを外国人労働者が占める。国内の失業率の悪化から、サウジ政府がこれまで黙認していた不法滞在者の閉め出しを強化したことで問題が表面化。同政府は今月3日に開始した一斉摘発に先立ち、4月からの半年間のうちに出国するか、合法的な滞在手続きをとるよう猶予期間を設けていたが、パスポートをなくした労働者はいずれの手続きもできなかったとみられる。
 インドネシア外務省によると、4日現在で約10万人のインドネシア人が不法滞在しており、このうち約9500人がパスポートの再発行を申請しているという。
 一斉摘発では6日までに、インドネシア人7800人以上の身柄を拘束。拘置所に収容した後、手続きが済み次第強制送還させるが、拘置所は過密など劣悪な環境も問題になっている。同日にはリヤドの拘置所で西ジャワ州スカブミ出身の男性(61)が死亡した。
 4日までに約6千人が帰国。インドネシア政府は大型旅客機をチャーターし、今後2週間でさらに8千人を帰国させるとしている。(高越咲希)

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