8年ぶり全面改良 アバンザ・セニア 自動車産業発展の弾みに 新モデルを発表
トヨタ自動車、アストラ・インターナショナル社、ダイハツ工業の三社は七日、トヨタとダイハツが共同開発した小型MPV(多目的車)の「アバンザ」(トヨタ・ブランドで販売)、「セニア」(同ダイハツ・ブランド)の新モデルを発表した。世界初の二社共同開発車として、二〇〇三年末に発表され、〇四年一月から販売を開始した初代モデルは、低価格とコストパフォーマンスの高さを武器に、今年十月までの八年弱の間に両モデル合わせ、インドネシアで百万台近くを販売。国内自動車販売の三割近くを占めるようになった。東日本大震災やタイの洪水で、自動車メーカーの部品供給網における対応強化が求められる中、ほぼ八年ぶりのフルモデルチェンジで、国内自動車産業の一層の発展に向けた弾みとしたい考えだ。
アバンザ、セニアは従来と同様、ダイハツの現地製造法人アストラ・ダイハツ・モーター(ADM)社のスンタル工場(北ジャカルタ)で生産。国内販売のほか、アバンザはこれまで東南アジアや中近東、アフリカなど二十七カ国に十一万三千台輸出しており、生産台数はすでに百万台を突破した。
同日、南ジャカルタのリッツ・カールトン・ホテル・ワン・パシフィック・プレイスのボールルームで行われた式典には、ギタ・ウィルヤワン商業相、工業省のブディ・ダルマディ最先端技術活用主要産業総局長、トヨタ・モーター・アジア・パシフィック社(シンガポール)の大西弘致社長(本社常務)、ダイハツ本社の伊奈功一社長、アストラ社のプリヨノ・スギアルト社長、現地販売法人トヨタ・アストラ・モーター(TAM)社のジョニー・ダルマワン社長、ADM社のスディルマン社長(ダイハツ本社取締役)らが出席した。
伊奈社長は「インドネシアはダイハツの世界生産の三〇%を占め、ダイハツの世界戦略の中でも最も重要な市場の一つとなっている」とあいさつ。プリヨノ社長は、雇用創出効果について触れ、「部品の一次サプライヤーだけで百五十社、二次は八百五十社で、一千社に達する」と話した。
トヨタ・アジアの大西社長は、タイの洪水の影響について、「今年はタイの自動車市場は年間約百万台を見込んでいたが、十月は通常の半分ほどとなった。インドネシアの今年の市場は八十八万―九十万台と予想していたが、インドネシアで生産する車の部品も一部タイから来ており、思ったほど供給できない可能性がある。ただ、中長期的には二億人を超える人口で高い経済成長を続けるインドネシアの市場がタイを抜く時期が来る可能性がある」と指摘。ダイハツの伊奈社長は現地調達率が八割強に達していることに触れ、「十一月いっぱいは生産に影響はないが、これからも影響は少ないだろう。ただ、まだまだ二次、三次、四次サプライヤーまでは完全に見えていないのと、時々刻々と状況が変わってきている部分があるので、長引くと影響が出てくる可能性もある」との見解を示した。
二代目となる新モデルのアバンザは排気量一三〇〇ccと一五〇〇cc、セニアは一〇〇〇ccと一三〇〇ccのモデルをそろえる。九日にはトヨタ、ダイハツがそれぞれの新モデルの価格などの詳細を発表する予定。