10%増の244万ルピア 来年のジャカルタ特別州最賃   労組側は見直し迫る 「絶対に認めない」

 ジャカルタ特別州のジョコウィ知事は1日、2014年の州内最低賃金を13年比10.4%増の244万1301ルピアとするとの州知事通達に署名したと明らかにした。31日に開催された政労使の最賃評議会で労組側がボイコットしたまま最賃案を知事に提出した。労組側は見直しを迫っている。  
 労組側は68%増の370万ルピアを要求していたが、州政府と経営者側は反発。経営者側は230万ルピア、州は244万ルピアを提示していた。評議会では労使各7人、州政府16人の計30人の委員のうち、労組代表の7人が会議をボイコットした状態で31日夜に合意に達していた。
 同知事は「今年は40%近く引き上げ、来年は68%引き上げるのは現実的でない。インフレ率の上昇とルピア安が沈静化したため、今回の水準で一致した」と正当性を主張した。
 インドネシア労働組合連盟(KSPI)は1日、中央ジャカルタの州庁舎前で、デモ活動を展開。ジャボデタベック(首都圏)から約7千人の組合員が参加した。
 州政府の発表を受けて、労組側は「ジョコウィ知事はわれわれと直接話し合うべきだ。労組側の承認がない決定は絶対に認めない」と怒りをあらわにした。
 デモが過熱する中、ジョコウィ知事は労組側の代表者10人を受け入れて会談。労組側は最賃見直しを要求したが、知事は経営者側に労組側の要望を伝えるとしただけで、最賃の見直しについては言及しなかった。
 労組代表者の1人デディ・ハルトノ氏は「州内の最賃策定基準の適正生活経費(KHL)が上昇していることを説明したが、見直しの可能性は低そうだ」との見解を表明。KSPIのムハンマド・ルスディ書記長は「14年の最賃は不十分だ。妥協という選択肢はない」と語り、今回決定した最賃が実施される来年1月まで見直しを求めてデモを展開する構えを見せた。
 警察は同日、千人の警察官を配備。夜にはデモ隊が州庁舎の前で泊まり込んで抗議を続けようとしたため、放水するなどして対応した。
 9月に発令された大統領通達では、全国33州の州政府は1日までに14年の最賃を決定するよう定められている。
 地元メディアによると、1日時点で12州が最賃を発表。東南スラウェシ州は25%増の160万ルピア、ジャンビ州は同15.67%増の150万ルピア、リアウ諸島州は同22%増の166万ルピアに設定するなど、最賃の上げ幅を10%以内とする大統領通達に従わない州も出ている。(小塩航大、写真も)

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