1日280㌧川に投棄 首都洪水回避に苦心 いつ消える堆積ごみ

 11月ごろの雨期入りを控え、ジャカルタ特別州は洪水対策を急ピッチで進めている。世銀の融資と国家予算を投じた浚渫事業で、川底に堆積したごみや土砂を掘削。しかし、流域住民が川に不法投棄するごみの総量は毎日280トンに上るとの指摘もあり、家庭ごみ削減を呼びかけ、排水溝の清掃を強化するなど対策に追われている。
 州清掃局によると、ジャカルタで1日に排出されるごみは7500トン。うち6千トンは、西ジャワ州ブカシ市にあるバンタルグバンごみ処理場へ運び込まれる。放置されるのは500トンで、うち280トンが川に投棄されるという。生活ごみが52.97%と過半数を占め、オフィス27.35%、工場8.97%と続く。
 アホック副知事は「洪水を引き起こす川の氾濫の原因はごみだ」と強調する。川に堆積したごみが川幅を狭くし、氾濫で住宅地にごみが流れ込み、負傷者も出ていると危機感を示す。
 今年2月には集中豪雨で都心を流れるチリウン川など四つの川が氾濫し、首都圏広域が大洪水に見舞われた。目抜き通りのスディルマン、タムリン両通りが冠水で通行できず、首都機能が麻痺(まひ)した。
 州は現在、州内の13の河川(全長125.6キロメートル)で浚渫事業を実施。世銀の融資1億3900万ドルと中央・州の予算計5100万ドルを使用し、韓国、中国、インド、台湾の企業を含む14社が参加。2年間で完了し、洪水は30%軽減できるとしている。
 また州内に12ある貯水池のうち、北ジャカルタのプルイットや東ジャカルタのリアリオで周辺の違法住居を撤去。家庭ごみなどで浅くなっていた貯水池を浚渫している。
 マンガス・ルディ・シアハアン公共事業局長は、浚渫する13の川のほか、州内には125の川(全長305.6キロメートル)があり、ここにごみが堆積し、治水機能が低下していると指摘する。
 一帯が冠水した中央ジャカルタのブンドゥンガン・ヒリルのクルクット川は現在、水草に覆われている。そこへ上流から流れてきたごみが水草にからまり、川幅が狭くなっている。また同地区には全長わずか1.8キロメートルほどのチラギ川があり、こうした住宅地に隣接する短い川にごみが堆積し、氾濫の原因になっているという。
 公共事業局はまず重機23台を調達し、州を東西・中央の3区域に分け、住宅地から発生する家庭ごみの撤去を急ぐ方針だ。(山本康行)

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