食料安保などで連携 域外の協力表明相次ぐ ASEAN関連首脳会議

 東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に日本と中国、韓国を加えたASEANプラス3首脳会議や、米国やロシア、豪州、インドなど18カ国による東アジアサミット(EAS)が10日、ブルネイのバンダルスリブガワンで開かれた。地域統合に向けて取り組むASEANを各国が支援しながら、ASEAN域外の参加国も食料安全保障やエネルギーの安定供給、金融などの幅広い分野を通じ、地域協力を進めていくことを確認した。
 経済共同体発足を2015年に控えたASEANだが、ミャンマーやラオス、カンボジアなど開発の遅れている国が混在し、域内格差の是正や、地域のつながりを強めるインフラ整備など課題が多い。それでも地域全体で見た場合の成長の度合いは高く、単一市場の形成にはASEAN以外からの参加国の関心も高い。
 一連の会合ではASEAN域外の各首脳から、経済分野のほか人材交流、災害対策などでの協力表明が相次いだほか、ASEANを軸に日中韓や豪州、インドなど16カ国が参加する東アジア包括的経済連携協定(RCEP)について、複数の首脳が早期実現を求めた。
 食料安全保障分野では、これまで数度の食料危機を経験してきたASEAN諸国は、97年に「ASEAN緊急コメ備蓄」を構築するなど早くから地域連携を進めてきた経緯がある。議長国ブルネイのボルキア国王はEASで「食料安保はEASの中長期的な将来にとって重要な要素だ」と指摘。地域の課題として、ASEAN域外の国も巻き込んだ取り組みを進める必要性を訴え、多くの首脳から賛同を得た。

■南シナ海問題で応酬
 海洋進出を強引に進める中国と、フィリピンやベトナムなどが抱える南シナ海の領有権問題も両首脳会議の主要議題の一つ。安倍首相は南シナ海をめぐる問題についてEASで、「世界の海洋秩序に直結する国際社会全体の関心事項だ。全ての関係国が一方的な現状変更に訴えることなく、国際法を順守することが重要」と強調。同席した世耕弘成官房副長官によると、7カ国の首脳から同調する意見が上がったという。
 尖閣問題を抱える日本にとっては海をめぐる問題では当事国以外も巻き込むという方策を示すことで中国への圧力を強めることが狙いだが、中国の李克強首相は「紛争当事国でない国が関わるべきではない」と痛烈に反発。紛争防止のために強制力を持つ「行動規範」の策定に向けて先月始めたASEANとの協議に前向きな姿勢を見せたものの、領有権問題は二国間で解決するとの姿勢を崩さなかった。
 ASEAN関連首脳会合は9日に開始。ASEANのみの首脳会議のほか、日本や米国、中国などの首脳級ともそれぞれ会談し、10日に一連の会合を終えた。来年の議長国はミャンマーが務める。(ブルネイ・バンダルスリブガワンで道下健弘)

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