金融市場、2日連続で暴落 「リーマンショック以来の混乱」 ルピア11000台に、株価3.21%下落

 インドネシアの金融市場の混乱が続いている。20日、銀行間の対ドルでのルピア取引は、前日より300ルピア以上下げ、ほぼ4年ぶりのドル高ルピア安となる1万800〜1万1000で取引を終えた。インドネシア証券取引所(IDX)総合株価指数は前日に続き大きく下落。不安要素が多いインドネシアはインドと並んで資金引き上げのターゲットになっており、市場からは「リーマンショック以来の混乱だ」との声が上がっている。
 総合株価指数は3.21%下落して4174.9で引けた。2日間で8.9%の暴落。史上最高値の5214.98を付けた今年5月20日から3カ月で20%以上下がっており、ブルームバーグによると7月以降、世界最悪の株価下落率になっている。ルピアは年初から11%以上、下落している。
 他の新興国でも米国の金融緩和縮小の観測が強まったことで2日間で株価が下落、通貨も軒並み売られている。ただその中でも経常収支・インフレ圧力が強いインドやインドネシアの下落率が顕著なのはファンダメンタルズ(基礎的諸条件)が他国より悪いとみられているためだ。
 中銀は16日夜に第2四半期の経常赤字が98億ドルだったと発表。第1四半期の58億ドルから大幅に増え、赤字構造が悪化していることを改めて印象付けた。
 第2四半期の経済成長率が2年9カ月ぶりに6%を割り込み、7月の消費者物価指数も8.61%と高インフレだったことなど、悪材料が噴出したことで投資家のインドネシア離れを加速させている。
 インドネシアは危機に備え外貨準備高を積み増してきたが、米国が金融緩和縮小へ向かうとの観測が広まった5月末の1062億ドルからルピア安を食い止めるため、市場介入を続けた結果、7月末には937億ドルまで減少。外貨準備高の減少で中銀が為替介入に慎重になっていることがルピア安を早めている。
 ハティブ・バスリ蔵相や中銀首脳は、第3四半期から貿易赤字が縮小、ルピア安も落ち着くと繰り返し強調しているが沈静剤にはなっておらず、「好材料がなくルピア安は続く」(インドネシアみずほ銀行資金為替課の小泉聡氏)との見方が大勢だ。
 地元メディアによると、ユドヨノ大統領は20日、「ルピアと株価の動向を注視していく」と述べ、蔵相や中銀総裁、金融庁長官らに対し、今後予想される米国の金融緩和縮小への対策を練るよう指示した。中銀のペリー・ワルジヨ副総裁は20日、「ルピア安定のために為替介入し、国債を購入していく」と相場安定に務める姿勢を示した。(堀之内健史)

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