CSR監視で批判浴びる 州営住宅の入居者支援 アホック副知事の団体

 企業の社会的責任(CSR)事業として、ジャカルタ特別州政府が今年2月以降実施している北ジャカルタ・チリンチンのマルンダ州営住宅(団地)の入居者支援で、アホック副知事の個人的な支援団体が物資配布やその監視を担当したことに対し、批判が出ている。強硬発言で知られる副知事は「汚職体質の州職員は信用できない」と明言、あくまでも第三者の立場で市民が州の活動を監視する必要があると反論している。 
 これまでアホック副知事は透明性向上を目的に、CSR活動を希望する企業の代表者と執務室で面会し、物資や寄付金など具体的な支援内容について話し合う様子を、動画投稿サイト「ユーチューブ」の公式チャンネルで公開してきた。
 今回問題視されたマルンダ団地の入居者支援では、テレビやベッド、ガスコンロ、テーブル、食器などを募り、民間や州営の企業16社、団体、個人各1の計18の支援者が協力した。
 州の窓口になった住宅建築物局、中小企業協同組合・商業局、海洋漁業局、公園・墓地局の4局を通じて実施したが、入居者に物品を配布する際、横流しなど不正が起きないようにと、「アホック・センター」のメンバーが監視したという。
 同センターの正式名称は「民主主義と透明性のためのセンター」で、2008年、アホック氏が国会議員選挙に出馬する際、支持者たちが設立した非政府組織(NGO)。それ以来、貧困者支援などの社会活動を続けてきたという。
 運営責任者は、アホック氏が保有する複数の企業の会計を担当してきた会計士ナタナエル・オプスング氏。「まだ州職員を信用できない」と明言するアホック氏の腹心で、「私が個人的に抱える債務額まで熟知している人物」という。
 外部者に支援物資の配布を依頼したとの批判について、アホック氏はこのほど「配布は州職員が担当した。(同センターの)支援者は監視していただけ」と釈明。「複数企業のCSRを一元管理して利益を得たなどとする批判もあったが、そのような方法で金儲けするつもりはない」と強調した。
 職員の汚職体質に根強い不信感があることを隠さず、「私がマルンダ団地で丸1日視察していたときでさえ、入居する権利のない未登録者に部屋を提供した住宅局職員がいた。物資配布などの監視は当面、個人的に最も信用できる人物に協力してもらわざるを得ない」と話した。
 アホック・センターへの批判は、中央ジャカルタ・タナアバンの露天商撤去をめぐり、副知事と地元プレマン(チンピラ)の対立が一段落した直後に浮上。副知事は「州職員の中に政治目的で、私をおとしめようと話題を提供している人物がいるようだ」との見方を示した。
 歳出節減に注力する州は現在、民間企業に積極的なCSRへの参加を呼びかけている。州地方財政管理局(BPKD)のエンダン・ウィジャヤンティ局長は、昨年ジョコウィ知事とアホック副知事を迎え、州は「新しいジャカルタ」のスローガンに沿ったCSRを歓迎していると説明する。
 同局は手続きの透明化を図り、CSRの活動内容に応じ、どの部署が管轄しているかを説明したり、CSRの対象としてふさわしい案件を紹介したりしている。物資や寄付金は同局が数量や金額などを記録するだけで、企業が直接引き渡しているという。(配島克彦)

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