最高裁に捜査のメス 職員・弁護士を現行犯逮捕 民事で贈収賄か 汚職撲滅委

 独立捜査機関・汚職撲滅委員会(KPK)が、最も不透明な司法機関で汚職が常習化していると批判されてきた最高裁判所の捜査に乗り出した。25日に著名弁護士事務所と最高裁の間で起きた贈収賄を摘発、職員を現行犯逮捕した。KPKは現職閣僚を含む与野党の政治家、警察幹部などへ捜査の照準を拡大し、国内世論だけでなく海外での評価も高まる中、金に絡む悪習が指摘される最高裁と弁護士の癒着構造にどこまで食い込めるか注目される。

 KPKの調べによると、中央ジャカルタ・スディルマン駅近くにある著名弁護士ホトマ・シトンプル氏の事務所で同日、同氏のおいの弁護士マリオ・チャルリオ・ベルナド容疑者が、現金7800万ルピアの入った袋を最高裁教育研修局職員のジョディ・スプラットマン容疑者に手渡した。尾行していたKPK捜査員がモナス(独立記念塔)付近でジョディ容疑者を収賄容疑で現行犯逮捕した。
 マリオ容疑者は民事事件の上告審を担当していた。判決への便宜供与を依頼して賄賂を渡したとの見方に対し、同容疑者の弁護人は「最高裁判事に(7800万ルピアだけの)小額の賄賂はあり得ない。判事との昼食だけでも2千万ルピアはかかる」と横行する贈収賄の慣習や癒着について説明。「職員には審理に干渉する権限はない。弁護士から受け取った現金はレバラン(断食月明け)賞与のつもりだったのでは」と話した。
 ホトマ氏は、元国家警察刑事局長ら有力者の汚職裁判を手掛ける著名弁護士。KPKは27日以降、同氏事務所やマリオ容疑者の自宅などを次々に家宅捜索し、捜査を進めている。最高裁はジョディ容疑者に休職処分を下した。

■スハルト氏親族も贈賄
 これまでにも最高裁判事や職員の収賄について追及する機運が高まったことがある。
 2002年、スハルト元大統領の三男トミー氏が土地不正取引事件の上告審に絡み、最高裁判事への贈賄を画策。しかし、この判事が賄賂を拒否したことに怒り、部下に命じて判事を射殺し、法曹界を震撼させたことがある。トミー氏は同事件で禁錮10年、恩赦を受け4年で出所した。
 当時トミー氏の弁護人を務めたヌディルマン・ムニール氏(ゴルカル党国会議員)は27日、「最高裁の判事は干渉しづらい分だけ、権力者面して賄賂を受け取る」と指摘。最高裁は最も不透明な司法機関で、法律で審理は公開すると定めているにもかかわらず、傍聴さえできず、判決文のコピー入手さえ賄賂を払わなければ時間がかかると批判した。
 05年には、スハルト氏の異父弟プロボステジョ氏が、森林再生資金不正流用事件の上告審に絡み、最高裁職員5人に計60億ルピアの賄賂を渡したことが発覚。判事ではなく、職員が仲介する収賄の実態が明らかになった。同事件の裁判ではプロボステジョ氏に禁錮4年が下り、収監されたが、「賄賂は審理を担当する最高裁長官に渡すつもりだった」との職員の証言は証拠採用されず、長官や判事は訴追されなかった。

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