エコ工業団地構築へ協力 実証事業を開始 電力インフラ輸出狙う エネ省とNEDO

 エネルギー需要の増大により、電力需給がひっ迫するインドネシアで日本企業の進出が相次ぐ工業分野を中心に、省エネへの取り組みが始まった。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はエネルギー鉱物資源省と、ジャカルタ郊外の工業団地で日本のスマートコミュニティー(環境配慮型都市)技術の実証事業を実施することで合意。エネルギーの最適利用の可能性を模索し、「スマート&エコ工業団地モデル」の構築を目指すとともに、日本の電力インフラを、機材や運用ノウハウを含めたパッケージ型で輸出しようという狙いだ。

 15日に中央ジャカルタで開かれた調印式にはNEDOの国吉浩理事とエネルギー鉱物資源省のリダ・ムルヤナ新再生可能エネルギー・省エネルギー総局長が出席。基本協定書に調印した。
 実証実験は2016年2〜3月まで西ジャワ州のスルヤチプタ工業団地で実施し、総事業費は35億円。日本からは住友商事や富士電機、三菱電機、NTTコミュニケーションズが、インドネシアからは国営電力PLNや工業団地の入居企業が協力する。
 工業団地の入居企業は電力供給が不安定な場合、歩留まりや機器の損傷など影響を受けやすい。これまでにも電力不足を背景とする突然の停電などが問題となっていた。スマートコミュニティーでは、電力の利用状況を視覚化することで(1)電力の需要ピークをずらし最大15%の省エネルギー化(2)電圧の変動が少なく、停電の頻度が少ない高品質電力の提供(3)ICT(情報通信技術)を導入した管理システム―を構築し、企業の生産性向上に貢献し、日系企業の進出促進にもつなげる。
 スルヤチプタ工業団地では入居企業約120社のうち、40社が日系企業で、二輪・四輪が主要産業。NEDOは団地の規模や実験の効率、協力体制が整備されていることを考慮し、複数の候補地から選定した。
 日本の省エネ技術や高品質の電力供給ノウハウは、経済が急成長するアジアの新興国で需要が見込めるとしており、スマートコミュニティーのパッケージ型輸出モデルを確立することで、他の工業団地や他のASEAN諸国などへの普及も検討していく。
 今回の事業はNEDOがアジアで実施する初めてのスマートコミュニティーの実証事業で、日イ官民が計画を策定したMPA(首都圏投資促進特別地域)の早期実施事業の一つに選定されている。(高橋佳久)

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