【火焔樹】　夢はかなうもの

　インドネシアでにわかに水泳ブームが起こっている。きっかけは、ロンドン五輪の水泳女子で金メダル二つ、銀メダル一つを獲得した「ラノミ・クロモウィジョヨ（Ｒａｎｏｍｉ　Ｋｒｏｍｏｗｉｊｏｊｏ）」。１９世紀の終わりにインドネシアからオランダへ移住した先祖を持つオランダ国籍だが、その風貌と名前はバリバリのジャワ人だ。
　１００メートル自由形決勝で競り合った際、イギリス人アナウンサーが苗字を正確に発音できず、興奮しながら「クロ〜モウジョジョ」と連呼していたのをテレビの前のインドネシア人たちは大笑いしていた。日本でも日系人が活躍すると取り上げられるように、インドネシアの血が流れるヒロインの活躍に皆憧れるのだろう。
　彼女の祖先のように大昔ではなくとも、オランダに渡って世界的な成功を収めた歌手に、アンボン生まれスマラン育ちの「ダニエル・サフレカ（Ｄａｎｉｅｌ　Ｓａｈｕｌｅｋａ）」がいる。「ドント・スリープ　アウェイ・ザ・ナイト」は世界１１０カ国で大ヒット。日本にも根強いファンがいる。時々ジャカルタにやってきてコンサートを開き、高く脳天を突き破りそうな独特の声で健在ぶりを発揮する。
　ボクシング・フェザー級で、１０年以上もの間に１５回もタイトル防衛を果たした現世界チャンピオンでサウスポーの「クリス・ジョン（Ｃｈｒｉｓ　Ｊｏｈｎ）」は、世界ボクシング殿堂入り間違いなしだ。
　政治の世界では、世界で影響力のある女性１００人にこの数年選ばれ続けている「スリ・ムルヤニ（Ｓｒｉ　Ｍｕｌｙａｎｉ）」元大蔵大臣がいる。今は世銀専務理事を務め、次の選挙では大統領候補としても名前が取り沙汰されている。
　この人たちの子どものころの「夢」は、「水泳でオリンピックの金メダルを取る」「世界的に有名な歌手になる」「ボクシングの世界チャンピオンになる」「国の有益な指導者になる」だったとのこと。まさに夢は叶うものなのだ。
　さて、みなさんの子どものころの夢は何だったかな‥。夢は持ち続けよう！（会社役員・芦田洸）