被疑者の処遇に差別 民主党幹部は拘置せず PKS「スピード裁判」批判

 1998年のスハルト政権崩壊後に設立された新党として固持してきた清廉なイメージから、汚職事件への関与発覚で支持率低下を引き起こしたユドヨノ大統領の母体・民主党とイスラム保守系政党の福祉正義党(PKS)の2党で、被疑者の処遇に差別が生じているとの批判が出ている。
 政府の牛肉輸入事件に絡んだ汚職事件で、収賄や資金洗浄の罪に問われたPKS前党首のルトフィ・ハサン・イスハック被告は1日、第2回公判で賄賂の前金13億ルピアを受領したなどと指摘した起訴事実を全面的に否認した。
 同被告のザイヌディン・パル弁護人は、逮捕から初公判まで5カ月未満の「スピード裁判」となったことを問題視。汚職撲滅委員会(KPK)は事件を政治問題化し、連立与党でありながら政府に批判的な立場をとるPKSに対し、差別的措置を講じていると批判した。
 また、民主党幹部の捜査は遅々として進んでいないことを指摘し、昨年末容疑者に断定され、4月に初めて聴取を受けたアンディ・マラランゲン前青年スポーツ担当国務相は依然として身柄を拘束されておらず、その理由も不明瞭だと強調した。
 先月中旬、アンディ前国務相の部下で、同事件で最初に容疑者に断定されたデディ・クスディナル容疑者が逮捕されるまで半年かかっている。PKS側は、賄賂授受の現場にはいなかったルトフィ被告を汚職の現行犯として逮捕し、党関係者や複数の妻らへと捜査対象を広げてきたKPKへの不満を露わにしている。
 一方、ハンバラン競技場建設に絡む汚職事件で、2月に容疑者に断定された民主党のアナス・ウルバニングルム前党首はアンディ前国務相と同様に拘束されていない。禁足措置もなく、最近は市民団体「インドネシア運動」を設立するなど政治活動を続けている。
 アナス前党首は捜査に絡み、党内の反アナス派に敗れたと明言。前党首を解任した後、党の全権を掌握したユドヨノ大統領は、義弟プラモノ・エディ・ウィボウォ前陸軍参謀長を幹部に迎え入れるなど、親族の退役軍人を起用して党の実権継承への地盤を固めている。

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