インフレ抑制に焦点 景気に冷や水も 燃料値上げ後

 財政を圧迫し、市場の懸念になっていた燃料補助金削減が断行され、金融市場の焦点は政府のインフレ抑制に移った。レギュラーガソリン44.4%、軽油22.2%の値上げで物価高騰は避けられず、金融政策次第では景気に冷や水を浴びせることにもなる。
 ハティブ・バスリ蔵相はこのほど「今年のインフレ率は7.2%に抑えられる。中銀予想の7.76%まではいかない」とインフレ抑制に自信を見せた。4月、5月が前月比でわずかながらデフレになり、1〜5月のインフレ率が2.28%だったことが自信の源だ。
 ただ市場では「政府・中銀の見方は甘い」との評価が多い。物流に不可欠なガソリンはあらゆる商品の価格を押し上げるとみられ、邦銀関係者の一人は「ガソリンの値上げ幅は大きく、直近2カ月のデフレとは比べものにならないインパクト」と指摘。政府予想より上昇率は高くなるとの見通しを示した。実際、ユドヨノ政権で値上げを実施した2005年と08年はそれぞれ17.11%、11.06%と高い物価上昇率を記録している。
 マチュン大学の経済専門家は燃料が10%値上げされるごとに0.8%物価を押し上げると試算し、今回の値上げで2.5%上昇し、8.1%と予想。マンディリ銀行のエコノミストは、政府の食料品の価格抑制政策があれば7.8%、なければ8.2%になるとの見解を示した。
 市場が注目するのは8月頭に発表される7月のインフレ率だ。政府や市場の予想との大きなかい離があれば景気の停滞にもなりかねない。物価上昇の抑制の鍵になるのが現在6%の政策金利の引き上げだ。金利を上げれば投資や消費が抑制され物価上昇に歯止めがかかる。ただタイミングや上げ幅を誤ると、順調だった企業の投資意欲の大幅な減退につながる可能性もある。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和縮小に向かうという、インドネシアでは対応不可能な要素で株・ルピアのダブル安が急激に進行しており、政府と中銀は、難しい舵取りを迫られる。(堀之内健史)

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