海外での宣伝加速化 震災復興の努力訴え 目指せ観光立国・日本(上)

 東日本大震災で大打撃を受けた日本の観光業の早期回復と一層の訪日外国人観光客誘致を目指し、年間三千万人の訪日外国人誘致(二〇一〇年は約八百六十一万人)を目指す日本の観光庁と日本政府観光局(JNTO)が海外でのプロモーション活動に本腰を入れ始めた。元々、日本向けの観光客が多い中国、韓国、台湾、香港といった東アジアに次ぐ市場として注目するのは、世界的な景気低迷の中、堅調な経済成長が続く新興国がひしめく東南アジア諸国。観光庁の溝畑宏長官はこのほど、日本をパートナー国として、シンガポールで開かれた旅行博「ITBアジア」に出席し、震災支援への感謝を伝えるとともに、日本が震災から復興しつつあることを来場者らに訴えた。

 旅行博の開会式に出席した溝畑長官は、記者会見で「東日本大震災により、訪日外国人観光客は三月十二―三十一日に前年同月比マイナス七三%となった。徐々に回復しているが、八月はまだマイナス三二%。政府、地方自治体、民間が国を挙げて安心・安全のイメージを回復し、一刻も早く震災前の状態に戻すための懸命の努力を続けている」と日本の状況を説明。
 具体的な取り組みとして、(1)JNTOのホームページなどを通じた積極的な情報発信(2)七月までにメディア・旅行会社約千人を招へい(3)レディー・ガガやジャスティン・ビーバー、イル・ディーヴォなど訪日した有名人や留学生などからのメッセージ発信(4)MICE(研修、視察、国際会議、国際展示会)強化によるイメージ回復(5)自身を含めたトップセールス―を戦略的に展開していると強調した。
 また「フライ・トゥー・ジャパン!」事業として、全世界から一万人の外国人を無料で日本へ招待し、日本の現状をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで発信してもらう計画を政府で検討していると説明。来年度予算として承認されれば、来年四月以降応募を開始し、夏以降に実際に旅行者を受け入れる予定で、「インバウンド(海外からの外国人受け入れ)の起爆剤にしたい」と期待を示した。
 インドネシアについて、溝畑長官はじゃかるた新聞に対し、「人口と経済成長、ミドル層の拡大や日本との親しい関係もあり、五年後、十年後を考えれば、非常に有力な市場であるというのは皆が認めるところ。個人的には、特にバリ島が好きでこれまでに三回行ったことがある。ケチャダンスを一回チャレンジしたいと思っている」と話した。
 観光庁はこれまで、十五カ国・地域を訪日外国人観光客誘致戦略「ビジット・ジャパン(VJ)事業」の重点市場と定め、予算を割いて、継続的にプロモーションを展開している。インドネシアについては、来年度の予算要求で重点市場入りを盛り込んだ。
 インドネシアからの昨年の訪日客数は八万六百三十二人で国・地域別で十四番目。前年比伸び率は二六・七%で、韓国、中国、マレーシアに次ぐ四番目となった。
 インドネシアを担当するJNTOシンガポール事務所の足立基成所長は、重点市場入りにより、現地の日本大使館やジャパンクラブ、旅行業界関係者らによる現地推進会が立ち上げられ、誘致拡大に向けた具体的な協議を進めることになると説明する。震災後は落ち込んだが、近年、訪日観光客の伸び率も高いインドネシアで旅行博に参加することも容易となり、「(課題の一つである)ビザの問題などもうまくまとめていきたい」と意気込んだ。(つづく)

※追記(2012年10月12日)
 記事の1文目の「観光庁(JNTO)」を「観光庁と日本政府観光局(JNTO)」に訂正しました。

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