ムルパティ機着陸失敗 搭乗50人 死者なし 同型、11年にも墜落

 10日午前10時(中部インドネシア時間)ごろ、東ヌサトゥンガラ州クパン市のエル・タリ空港で、国営ムルパティ・ヌサンタラ航空の小型旅客機(乗客乗員50人)が着陸時に姿勢を崩し、胴体やプロペラが地面に触れて、大破した。複数のけが人が出た模様だが、死者はいない。4月にはバリ州で格安航空ライオンエアの旅客機が着陸に失敗したばかり。ムルパティ航空が運用する同型機は2011年にも西パプア州沖で墜落事故を起こしており、安全管理を問題視する声が高まるのは必至だ。
 事故機は中国製小型双発プロペラ機のMA60で、同日朝、同州フローレス島バジャワ(ンガダ県)の空港を出発した。運輸省によると乗客は幼児1人を含む46人。ムルパティ社の発表では、2人がガラスの破片で負傷し、治療を受けた。国営アンタラ通信は機長を含む5人が重傷、20人が軽傷を負い、近くの空軍病院に搬送されたと報じている。
 地面に接触した後、飛行機はそのまま前のめりになり、左右のプロペラが地面に接触した。機首の前輪に何らかの問題が生じた可能性がある。機体はその後、停止位置を大きく超えて停まった。滑走路手前で地面に接触したとの情報もある。 
 飛行中、空港にはパイロットから機械不良などトラブルの連絡は入っていなかったという。国家運輸安全委員会(KNKT)が現地に調査官を派遣し、詳しい原因を調べる。
 機体は胴体中央部に大きな亀裂が入り、主翼は胴体をめくり上げるように破損した。機体の撤去のため、空港は数時間にわたり閉鎖された。後続便が欠航した。
 MA60は中国航空工業第一集団公社傘下の西安飛行機工業が製造。ムルパティ社の同型機は11年5月、西パプア州沖で墜落し、乗客乗員25人全員が死亡している。この事故を受け、インドネシア政府は着陸するのが比較的難しい東部地域の3空港で同型機の離発着を禁止していた。
 4月13日にはバリ州ングラライ国際空港でライオンエアのジェット機が着陸に失敗し、滑走路近くの海に落ちた。(道下健弘)

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