過激派、全国でつながる 国家テロ対策委員長 

 中部スラウェシ州ポソ県警を狙った3日の自爆攻撃は、取り締まりを強める当局に対するイスラム過激派の強硬姿勢を鮮明にした。過激派の狙いは何か、なぜポソなのか、テロ対策の最前線にいるアンシャアド・ムバイ国家テロ対策委員長に聞いた。
 組織体系を持つものから持たないもの、一つ一つは小さいが数えきれない過激派のグループが共通目標「イスラム国家樹立」を持ち、活動している。逃亡を続けるポソの指導者サントソはジャマア・アンシャルト・タウヒッド(JAT)出身で、中部ジャワ州で5月に射殺されたアブ・ロバンはイスラム国家樹立運動(NII)に所属し、ポソに資金を送っていたとみられる。全国規模でつながる過激派が協力し合っている。
 これまで、首都圏での大規模なテロ計画は事前に摘発できている。だが、昨年10月、今年5月に逮捕したグループはそれぞれ、米国大使館、ミャンマー大使館を狙っていた。警察だけでなく、依然として欧米をはじめとする外国人を狙ったテロが起きる可能性も拭えない。
 各地から資金が集まるポソは、イスラム主義組織が活動するフィリピンからの武器密輸も盛んで、過激派の本拠地になりつつある。宗教紛争があったポソでは森林や山間の地域が多い。過激派はキリスト教徒とムスリムの潜在する対立に付け入り、入り組んだ地形で軍事的な活動を隠密に行うことができる。ポソに拠点を構えるイスラム強硬派団体JATは以前、同じ条件があったアチェ州で活動し、摘発された。
 対テロ政策では、過激派思想を根っこから摘み取ることが重要だ。過激派は強硬な思想の素地がある地域から人員を集める。ダルル・イスラム(独立後のイスラム国家建設運動)の活動が活発だったアチェや西ジャワは要注意地域だ。
 国家テロ対策委員会(BNPT)は今年11月、西ジャワ州ボゴール県スントゥールに受刑者向けの反テロ矯正施設を立ち上げる。過激派の活動に参加する人はマインドコントロールされ、イスラム本来の寛容性を忘れている。再犯率が高い反テロ法受刑者を刑務所で再教育し、地域社会レベルでも反過激思想を広めなければならない。(聞き手・上松亮介)

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