瀬戸際の一手 裏目 燃料値上げ反対も孤立 汚職疑惑の福祉正義党

 国会第4党の福祉正義党(PKS)が、連立与党ながら政府が進める燃料値上げに反対したことで波紋が広がっている。汚職疑惑にあえぐ同党が打った窮余の策は連立内での孤立を招き、マイナスに働いたとみられる。          
 PKSを含む連立与党6党は先月中旬、燃料値上げと貧困層補償を盛り込んだ2013年補正予算の承認で合意していた。しかし、PKSは政府が補正予算案を国会に提出後の先月30日に幹部会合を開き、連立与党間の合意を翻す形で燃料値上げ反対を表明した。
 PKSは、値上げにより燃料の違法取引がまん延するなど政策的な抜け穴があると主張。街頭に「PKSは燃料値上げに反対する」などのポスターを設置し、国民に訴えかける宣伝戦略を展開した。
 この動きに対し、ユドヨノ大統領が党首を務める国会第1党の与党民主党が「反撃」に出た。同党のマンギンダアン顧問(運輸相)は7日記者会見を開き「PKSが連立を傷つけた」と言い放ち、ヌルハヤティ同党国会会派代表も「反対は汚職で失墜したイメージを取り戻す戦略。PKSの閣僚は辞任すべきだ」と糾弾。燃料値上げをめぐっては、ユドヨノ大統領はアブリザル・バクリー・ゴルカル党党首、プラボウォ・スビアント・グリンドラ党最高顧問らに根回しし、燃料値上げと貧困層補償のセット案で政府内の不協和音を乗り越え、予算案提出にこぎ着けていた。
 ほかの連立与党もPKSの反対に同調せず、批判に回っている。昨年3月の燃料値上げ国会ではゴルカル党の造反が各連立与党の離反を招いたが、ゴルカル党の議席数は連立与党の4分の1となる18%。それに対し、PKSの議席数は全体の10%程度に過ぎず、PKSなしでも補正予算は可決できる。
 四面楚歌の状況となったPKS内部でも対応にぶれが生じ始めた。アニス・マッタ党首は4日、副大統領官邸での連立与党会合を欠席。PKSを除く連立与党5党は燃料値上げをめぐる与党内の結束を再び確認した。一方、民主党からの辞任要求にさらされるPKS所属のティファトル通信情報相は5日、大統領を支持する考えを示し、党内最高機関で再び議論するとして、値上げ反対の撤回に含みを持たせた。
 来年の選挙を控え、PKSをめぐる情勢は厳しい。牛肉輸入汚職疑惑をめぐりルトフィ・イスハック前党首は汚職、資金洗浄の容疑者に断定された。党出身の閣僚が管轄する省庁から党ぐるみで選挙資金2兆ルピアの調達を図っていたほか、ルトフィ前党首の秘書が横領した金を女優・歌手ら45人に渡していた疑惑も連日メディアを騒がしている。
 KPKの報道官は5日、「ルトフィ前党首が汚職、資金洗浄に関与したことを裏付ける強固な証拠があり、いずれ公開する」と語り、捜査を進める方針を示した。(吉田拓史)

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