東南アジアへ観光PR弾み 富士山の世界遺産確実視 山梨県もイ人誘致に重点 富士急

 富士山周辺で富士急ハイランドやホテル、交通機関を運営する富士急グループは富士山の世界文化遺産登録(6月)がほぼ確実となったことを好機ととらえ、東南アジア諸国からの観光客呼び込みを強化している。富士山お膝元の山梨県も国営ガルーダ航空との提携やインドネシア人を県職員に採用するなど、インドネシア観光客誘致の取り組みを加速させている。

 これまで富士急グループが海外で営業していたのは中国、台湾、香港のみだった。今年からインドネシアの旅行代理店へ営業を開始。29日にはジャカルタのホテルで、富士山や同グループが保有する施設の魅力を訴えた。同様の説明会を今後、タイとマレーシアでも実施する。
 富士急セールスの岩田大昌社長は「世界文化遺産に登録されることはある程度予想していた」と自信をみせ、話題になる時期に合わせてASEANへの売り込みを本格化させたと述べた。
 「富士山は絵画や文芸の題材にも多く使われ日本人にとって特別なもの」と説明。世界文化遺産に登録されることが確実である点を挙げ、世界的にも認められていることを強調した。
 富士山は観光客にとって元々、東京〜大阪を結ぶ「ゴールデンルート」に含まれており、定番のスポットの一つ。「見る」だけから「体験してもらう」ことに重点を置き、ホテルなど周辺施設の利用増加につなげたい考えだ。
 富士山の麓に広がる山梨県も、インドネシアを観光客誘致の重要国に位置付ける。同県は4月に地方自治体として初めてガルーダ航空との提携を発表した。山梨県側が提案したプランや観光資源をガルーダ航空が売り込む。4月にはインドネシア人約30人が参加したサイクリングツアーを複数回にわたり実施。6月には学生向けに日本文化体験ツアーを催す予定だ。
 県担当者によると、尖閣諸島をめぐって日中関係が冷え込んでからは、外国人旅行者の半数を占めていた中国人が2割ほど減った。一方、観光客として増加が著しいインドネシア人やムスリムについて知りたいという要望が、観光業者から多く寄せられている。8月にはインドネシア人1人を県職員として雇用し、ムスリムセミナーなどのための受け入れ体制づくりを進める。10月には横内正明知事がインドネシアを訪れ、トップセールスをする。
 日本政府が4月に発表した訪日外国人観光客数は92万3千人で、単月として最高を記録。中国人観光客数が前年同月比33.0%減だったがASEAN諸国の大幅な伸びがけん引した。インドネシア人は同61.3%増の1万5500人で、4月としては過去最高だった。
 富士山の世界文化遺産登録をめぐっては観光客増加が期待される一方、環境破壊が懸念されており、富士山の入山料の徴収など対策が急がれている。(堀之内健史、写真も)

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