シーラカンス再調査開始 アクアマリンふくしま マナドで、謎の生態を追う
福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」のシーラカンス調査隊は29日、北スラウェシ州マナドに到着した。同館はマナド湾で2009年、世界で初めてシーラカンスの稚魚を発見しており、今回は繁殖行動などの生態を調べる。調査は6月10日まで。
マナド湾で自走式水中カメラを使い、朝と昼にシーラカンスが生息する水深150メートル付近を探索する。地元漁師から捕獲や目撃情報も聞き取る。地元サムラトランギ国立大学内に昨年開設されたシーラカンス研究所のメンバーも調査に加わる。
調査隊リーダーの岩田雅光さんは「シーラカンスはまだまだ謎に包まれている。今回は繁殖行動と稚魚の生態をビデオに撮りたい。これまでのデータを基に、地道に探索していく」と力を込めた。
同館は01年からシーラカンスの標本の展示を始め、現在はシーラカンスの特徴を説明するコーナーを設置。インドネシア調査での撮影映像を流すなどし、好評を得ている。
インドネシアでは05年から調査を開始し、インドネシア科学院(LIPI)などと合同で進めてきた。06年には中部スラウェシ州ブオール沖で、日本の研究チームとして初めてシーラカンスの撮影に成功した。
09年にはマナド湾で稚魚の撮影に成功し、10年11月にはパプア州ビアク島近海でもシーラカンスを撮影。謎の多い古代魚の生態解明に大きく貢献してきた。
11年3月11日に起きた東日本大震災の津波で同館は大きな被害を受けたが、同8月に再開業。12年5月にはマナド湾での調査を実施し、シーラカンス2匹の撮影に成功している。