未来の暮らし方考える 日イ建築家ら、研究会 ATAP JAKARTA
家に関わるウェブアンケートや研究会を通じてジャカルタの「未来の住まい」を考える「ATAP JAKARTA(HOUSE VISION INDONESIA)」実行委員会は26日、南ジャカルタ・クマンで第1回研究会を開いた。アジアの代表的なメガシティとして急速な経済成長を続けるジャカルタで、アジアの「住まいの豊かさ」を探るため、月に1度、建築家やデザイナー、研究者らを招きセミナーを開催する。
ATAP JAKRTAは総合地球環境学研究所(RIHN、京都府)やデザイナーの原研哉氏が世話人を務めるHOUSE VISION、東京大学生産技術研究所の村松伸研究室などがインドネシアの建築家、デザイナーとともに結成。2013年は住まいに関するウェブアンケートの結果をもとにセミナーを月1度開催し、14年には現地企業や日本企業、デザイナーがジャカルタの住まいの形を考え、15年の展覧会開催を目指す。
第1回研究会のテーマは「コンパクト」。研究会を主催する林憲吾研究員(RIHN)は「都市の人口が増え、高密化していく中で大きな空間ではなく、限られた空間で豊かに住む方法を考える必要がある」と主旨を説明。
一方で建築家タン・ティク・ラム氏は、インドネシアでは土地が大きければ、その土地の全てに家を建てるように考える人が多い上、高層化するよりも、平屋建てで増築する習慣があることを説明。裕福になればメードなどの部屋を必要とするために、ただ空間を小さくするのではなく、必要なものを取捨選択することで豊かに暮らせる空間を確保できるとの見方を示した。
日本からはギングリッチ一級建築事務所代表の山雄和真さんが自作のほか、バンテン州タンゲラン・ポリスガガでの調査を基にした設計提案を発表した。
HOUSE VISIONは今年3月に日本で展覧会を実施。家はエネルギーや住宅設備、資材、通信技術など多様な産業と関わるため、家を軸とした未来の住まい方を提案し、建築家やデザイナーなどがホンダや住友林業、リクシルなどと新しい家の形を模索した。インドネシアの文化や需要を研究し、新しい産業の可能性を探る。
インドネシアの他にも中国でウェブアンケートやシンポジウムを実施。マレーシアでも計画するなど、アジア全域での活動を視野に入れる。
次回の研究会は6月15日。今回の発表やウェブアンケートから「コンパクト」に住むことを討論する。詳細はホームページ(www.atap-jakarta.org)で。(高橋佳久、写真も)