EPA元看護師候補者 59人が再会喜ぶ 「日イ両国の懸け橋に」

 日イの経済連携協定(EPA)の看護師・介護福祉士受け入れ事業で2008年と09年に派遣され、帰国したインドネシア人の元看護師候補者を中心に59人が18日、ジャカルタに集まった。初回の08年から12年5月までに日本に渡ったインドネシア看護師候補者総数は392人に上り、合格者は約50人。合格できずに期限を終え、帰国した元候補者たちにとって、高額な日本への渡航を含めた再受験、インドネシアでの再就職などが課題となっている。日本で看護師になるという夢をかなえられず、失意のまま帰国した人も多い。「両国の懸け橋になっている人たちを悲しませてはいけない」と、元候補者たちの情報交換の場として、これまで再受験を支援してきた両国の団体関係者が企画した。 

 元候補者59人は、中央ジャカルタのプラザ・スナヤンのレストランに集まり、お互いの労をねぎらった。苦楽をともにした友人との再会を喜び合う参加者たち。「今は何しているの?」「日本でもう一度国家試験を受ける予定」などとお互いの近況を報告し合った。
 佐賀県唐津市の医療機関で働き、今年4月に帰国したフルイダ・マルタさん(29)は「久しぶりに友人と再会できてよかった。試験に合格するのは困難だが、また日本へ行き、試験にもう一度挑戦したい。日本とインドネシアを医療で結ぶ付ける仕事にやりがいを感じている」と力を込めた。
 インドネシア日本友好協会(PPIJ)のラフマット・ゴーベル理事長は「日本から帰っても再受験できるサポート体制があるため、この制度を活用し、日イ両国の懸け橋として頑張ってほしい」と候補者を激励した。

■「医療で国に貢献を」

 元残留日本兵の相互扶助組織として発足し、現在はインドネシアの日系人を支援する福祉友の会が中心となって運営する「ミエ学園」は昨年、元看護師候補者たちの再受験支援に着手、日本側で偕行会(名古屋市)が受け入れ先となり、協力した。今年までに7人の再受験を支援し、1人が合格した。
 同会は今年も来年2月の看護師国家試験に向けて再受験する元候補者を募集し、約10人を支援する方針。10〜12月の3カ月間はミエ学園で日本語を再勉強。1月に訪日し、国家試験の過去問題などを復習するという。昨年の受け入れ時には滞在時の費用や国家試験の学習のための教師、住居や食事などを提供した。
 日本では同会の医療機関で働くインドネシア人看護師がいるが、再受験支援では合格した場合でも特に同会での勤務などの制約は設けていないという。橋本一幸渉外部長は「この国の医療実態を調査した際、看護師の水準が十分でないと感じた。彼らに日本で高度な医療を勉強してもらい、この国の医療に貢献できる人材を育成する」と話した。

■縦横のつながり構築を

 今回の会は、ミエ学園のマリコ・スルヤントさんや海外産業人材育成協会(HIDA)在籍時から候補者支援を続けるアセアン・ビズ・コンサルタンツの大谷秀昭さんらが3月ごろから企画。年内にプラザ・スナヤンでクリニックを開設する予定の偕行会が協力した。
 大谷さんによると、EPAの第1陣と2陣の看護師候補者同士が集まって交流する機会は初めて。会にはインドネシアの外務省や保健省のEPA担当幹部も招待し、インドネシア政府にも帰国した元候補者たちの支援の必要性を訴えた。大谷さんは「EPA看護師の縦と横のつながりを構築し、お互いの日本での体験を共有することで、日本で得た貴重な知識と経験を今後に生かせると思う」と話した。(小塩航大、写真も)

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