総選挙1年後に迫る 16年目の民主主義の祭典 議員候補受理開始 来年4月9日投開票

 来年4月9日投開票の総選挙を1年後に控え、総選挙委員会(KPU)は9日、政党が作成する議員候補名簿の受け付けを開始した。22日まで受理し、審査を経て来月5日までに候補者を確定する。政党の乱立から少数厳選への潮流を受けて、1998年のスハルト独裁政権崩壊以降、4回目の選挙で最小となる12党と地方政党3党が参加。中央・地方政治のすう勢を一挙に確定するインドネシアの若い民主主義の祭典が始まる。
 全国33州で人口に応じた選挙区を割り振り、国会議員、州、県、市の地方議会、地方代表議会(DPD)議員を同時に選ぶ。KPUが得票をもとに国会・地方議会の議席を各政党に振り分け、得票数が多い候補順に当選する非拘束名簿方式が採られる。国会には得票率2・5%に満たない政党は議席配分を受けられない「足きり規定」があり、09年に国会議席を得たのは9党。35党が落とされた。
 民主化16年目の選挙は少数厳選だ。KPUは10年に改正された政党法(08年制定)に基づき、政党設立要件を厳格化。「全州に党支部を持ち、かつ県・市の75%、その県・市にある郡の50%に支部がある」とした。憲法裁判所は昨年、改正総選挙法(2012年法律8号)の違憲審査で、KPUによる政党審査の厳格化を命じている。
 これにより「足きり」対象となった政党が、党名を変更するなど「看板の掛け替え」による再参加が減り、当初10政党まで絞り込んだ。落選した2党が行政裁判で勝訴し参加資格を得て滑り込んだ。
 翼賛体制下で3党に制限されていたスハルト独裁政権崩壊後、99年初めて開かれた総選挙には48政党が参加した。04年は24、09年は44と参加政党は増減したが、多党乱立の弊害を訴える声が続出した。
 総選挙は大統領選を占う重要な前哨戦でもある。大統領選の立候補には直前の国会議員選挙で国会議席の20%、または総有効票の25%を獲得した政党もしくは政党連合の推薦が、大統領選への立候補の要件と規定している。要件を満たす正副大統領を「ペアリング」させようと、各政党が熾烈な駆け引きを繰り広げてきた。
 政党の活発な盛衰と離合集散は続いている。09年総選挙は民主、ゴルカル、闘争民主の3強構造を作ったが、民主党は相次ぐ幹部の汚職疑惑により、世論調査では3強から抜け落ちた。さらにイスラム政党の衰退傾向も鮮明になり、かつてイスラム国家樹立を党是にしたイスラム政党の世俗政党化が指摘されており、「国体」が争点に浮上することはなさそうだ。
 審査厳格化で国内最大のイスラム社会団体ナフダトゥール・ウラマー(NU)の票の拡散が鮮明になった。民族覚醒党(PKB)を設立した故アブドゥルラフマン・ワヒド元大統領(グス・ドゥル)の次女イェニー・ワヒド氏はPKB分派の新インドネシア民族主権党(PKBIB)を引き連れ民主党副党首に就任する方向。ナフダトゥール・ウンマ統一党(PKNU)はプラボウォ・スビアント氏のグリンドラ党と合流した。(吉田拓史)

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