新燃料導入も検討 政府 実質的な値上げに 補助金削減へ

 財政を圧迫する燃料補助金の早期削減を目指し、政府は新燃料の導入を視野に入れた。これまでの補助金付き燃料「プレミウム」と、補助金対象外の高級燃料「プルタマックス」の中間の品質となる新燃料「プレミックス」を販売し、プレミウムから新燃料への移行を促す。プレミウムの値上げからガソリンスタンドでの販売上限の設定、私用車の消費量制限までさまざまな案が出る中、政府は財政赤字の拡大を食い止めるため、新政策の策定を急いでいる。
 新燃料案は昨年にも提案が出たが、アグス・マルトワルドヨ蔵相が2日、通信社ブルームバーグに対しプレミウムとプルタマックスの中間価格帯の燃料を新たに投入するとの新政策を掲げたことで再び関心が集まった。
 プレミウムのオクタン価は88で1リットル4500ルピア、プルタマックスはオクタン価92で1万ルピア前後であるのに対し、新燃料プレミックスはオクタン価を90と設定し、販売価格は7千ルピア前後を想定。私用車のプレミウム利用を禁止することで実質的な値上げとなり、消費をプレミックスに移行させ、最終的な補助金削減につなげたい考えだ。
 フィルマンザ大統領経済担当補佐官は4日、新燃料導入の背景として、すでにオクタン価が88のガソリンを使用している国は少数になっていると説明。さまざまな案が出ている新燃料政策については「現在、最終段階を迎えている。(国営石油ガス)プルタミナの準備状況も勘案し、今年に入って高率となっているインフレ率への影響も踏まえながら、国家の財政負担を軽減するための選択肢を定めていく」と語った。
■足並みそろわぬ閣僚
 補助金燃料をめぐる政策策定は二転三転した。ユドヨノ大統領は先月末までに新政策をまとめるよう関係閣僚に指示していたが、自身のお膝元である民主党の騒動もあり、今月末まで延期していた。
 エネルギー鉱物資源省は私用車による補助金燃料「プレミウム」の使用を制限し、一般燃料への移行を促しつつ、エネルギーのガス転換で増大する燃料需要に対応する考えを提案してきた。だが、給ガス施設などインフラ面、技術面で実現が難しいと実施を見送られた過去がある。
 一方、大蔵省はプレミウム値上げによる「補助金削減の抜本策」(アグス蔵相)を主張。昨年の燃料・電力補助金は歳出の2割超にあたる306兆ルピアに達し、改訂前の国家予算で配分された202兆ルピアを大幅に超過した。
 取りまとめ役のハッタ・ラジャサ経済調整担当相はこれまで、「補助金のうち100兆ルピアはインフラに使われるべき」「300兆ルピアの補助金は不健全」と補助金削減を目指す発言を繰り返している。
 国家経済委員会(KEN)のハイルル・タンジュン委員長は先月28日、バリで大統領の要請を受けた後「値上げは物価上昇を招き低所得者層や付近の層が貧困から抜け出せなくなる」と値上げに否定的な姿勢を見せている。大蔵省財政政策センター(BKF)のバンバン・ブロジョネゴロ所長は4日、政府は首都圏と地方都市でプレミウム使用を禁止する政策を検討しているほか、私用車の購入を一部制限する案や販売量の上限を設ける案も浮上していると語った。

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