委員長秘書が流出 アナス捜査の命令書 KPK査問委調査で判明

 ユドヨノ大統領の出身母体、民主党のアナス・ウルバニングルム前党首の捜査を指示する汚職撲滅委員会(KPK)の内部文書がマスコミに流出した問題で、KPK査問委員会は2日、KPK委員長の秘書が流出させたと発表した。
 事情聴取や携帯電話の通信記録を調べた結果によると、アブラハム・サマッド委員長の秘書ウィウィン・スワンディ氏(27)は、2月7日に印刷されたアナス前党首の捜査命令書をスキャンし、同じ南スラウェシ州マカッサル出身の親しい記者2人に渡したほか、前党首が容疑者に断定されることを同郷の政治評論家イルマン・プトラシディン氏に伝えた。
 同月7日はユドヨノ大統領が外遊から帰国し、8日夜に幹部を私邸に集めて党の全権掌握を発表した。アナス容疑者断定の情報流出を受け、民主党が混乱に陥り、大統領が緊急措置を講じたことが明らかになった。
 ウィウィン氏は同事件以外にも、国家警察交通局、輸入牛肉、中部スラウェシ州ブオル県のアブラヤシ農園開発など、大型汚職事件に関する情報を流出させていたことも判明。同氏は「政治的動機はない。関与が発覚しても平然としている汚職犯への憎悪からマスコミに流した」と供述したという。同氏は同郷の委員長の要請で秘書になり、委員長宅に住んでいた。
 KPKの人事会議はウィウィン氏に懲戒免職処分を下すことを決定した。査問委はアブラハム委員長に対し「慎重さに欠けていた」と秘書への監督責任を認定。他の幹部が承認する前に捜査命令書に署名したとして、戒告処分にするとした。
 漏えい事件の責任を問われた委員長に対する処分をめぐり、「委員長解任を狙ったクーデターか」との見方も出た。ジョハン・ブディ報道官は「(事件に対する懲戒処分をめぐり)KPK内部で意見の相違が生じていることは確かだが、クーデターなどではない」と言明。早期に決着し、本来の任務である汚職捜査に集中しなければならないと強調した。

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