独立旗復活で対立 住民「平和を脅かす」 アチェ州と中央政府

 アチェ州議会が分離独立派武装組織・自由アチェ運動(GAM)と同じデザインの旗を州旗に採用すると議決したことを受け、自治体の条例制定を監督する内務省は「地域の不安定化を招く可能性がある」とアチェ州に見直しを勧告している。スマトラ沖地震・津波直後の2005年、インドネシア政府と和平協定を締結して以来、広範な自治権を付与され、平和を維持してきたアチェ州で、すでに解散した独立派のシンボル復活をめぐり、地元と中央の対立が過熱する可能性もある。
 
 発端はアチェ州議会が先月22日、赤地に白色の三日月と星をあしらい、上下に白と黒の縞模様が入る旗を州旗に制定し、預言者ムハンマドが昇天する際に乗ったとされる天馬を描いたマークを州の紋章に採用したこと。旗は公式行事などで掲揚し、紋章は公文書に使用する。
 この州旗は、1976年から05年まで30年以上にわたり、インドネシアからの分離独立を目指し、武装闘争を展開してきたGAMの旗とまったく同じデザイン。和平協定を結ぶまでは、GAMのゲリラがジャングルの中で銃器とともにこの旗を掲げ、健在ぶりを誇示するのに使用する一方、治安当局は旗を「敵」の象徴とみなし、掃討作戦の対象としていた。
 アチェ側はGAM旗採用について、和平合意では制服や軍事的な記章、シンボルを禁止しているが、旗や紋章、歌などを含む地方のシンボルを定め、使用を認める内容が盛り込まれていると主張。同じデザインであっても、分離独立運動を復活させる意図はないと強調している。
 これに対し、内務省は地方のシンボルに関する政令(2007年)で、分離独立運動のシンボルの使用を禁じているとの見解を示し、見直しを勧告した。
 国家の統一性を乱しかねないと捉えたユドヨノ大統領は1日、ガマワン・ファウジ内相をアチェに派遣し、交渉にあたらせると発表。ガマワン内相は「合意に違反していないことを確認するために、州議会は中央政府に相談すべきだった」と遺憾の意を表明。三日月と星の下に剣を配し、17世紀に栄えたアチェ王国時代の旗を引き合いに、「イスカンダル・ムダ国王(1636年没)時代からのシンボルマークがあるのに、なぜそれを使わないのか」と代替案を提示した。
 和平締結までスウェーデンに亡命していたGAMの元「外相」ザイニ・アブドゥラ州知事は「アチェの人々の文化的闘争のシンボルだ」と譲歩する姿勢は見せていない。1日には、州旗制定を支持する住民約千人が、州都バンダアチェのバイトゥラフマン・モスクから州議会前まで行進。横16メートル、縦6メートルの旗をハスビ・アブドゥラ議長に手渡し、支持を表明した。
 GAMを母体とする地方政党のアチェ党は発足当時、党名を「GAM党」とし、党旗もGAMのものを踏襲したが、中央政府や国会などが反発。08年に党名をアチェ党に、党旗は三日月と星の代わりに党名「アチェ」の文字を入れるなど変更した経緯がある。(道下健弘)

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