「平和の尊さ」伝えて 広島大が名誉博士授与 被爆の元留学生ハッサン氏に

 広島文理科大学(現・広島大学)に戦時中留学し被爆した後、平和活動の推進に大きく貢献したほか、ダルマ・プルサダ大学の設立などを通じて日イ友好に大きく寄与したとして、広島大学は16日、ハッサン・ラハヤ氏(90)に東ジャカルタのダルマ・プルサダ大学で名誉博士号を授与した。
 ハッサン氏は1944年に南方特別留学生として来日。45年8月6日に投下された原爆で自身は一時的な難を逃れたが、周りは火の海。途中で女子中学生らを救助しながら川に飛び込むなどして一命を取り留めたが、ともに同大で学んでいたインドネシア人のニック・ユソフ氏とサイド・オマール氏を失った。
 その後は「せっかく日本に来たのだから」と日本で勉強を続け51年に慶應義塾大学を卒業した。帰国後は海運会社社長、国民協議会(MPR)議員、最高諮問会議(DPA)委員を務めた。また日イ友好協会(PPIJ)や日本留学経験者を中心に創られたダルマ・プルサダ大学の設立に携わるなど、日イの懸け橋として奔走。2005年の春の叙勲では旭日中綬章を受章した。
 式典のあいさつで、ハッサン氏は冗談を交えて出席者を沸かせながら日本と歩んだ人生を振り返った。今後、広島大学で講演するとし「学生らに教育の大切さを伝えたい」と勉学に励めることが、いかに貴重であるかについて知ってもらいたいと意欲を見せた。
 名誉博士号を授与した広島大学の上真一副学長(平和・国際担当理事)は「これからも平和が普通になっているインドネシア、日本の若者に自身の体験を通じて平和の尊さを伝えてほしい」と期待を込める。また今回初めて関わりができたダルマ・プルサダ大学との提携をハッサン氏らが望んでおり、上副学長は「積極的につながりを作っていきたい」と前向きに検討する意向を示した。
 式典には鹿取克章駐インドネシア大使、元日本留学生協会(プルサダ)のラフマット・ゴーベル会長、ダルマ・プルサダ大学のオロアン・シアハアン学長らが出席。日本とインドネシアの友好親善に半生を捧げてきた先駆者を祝福した。(堀之内健史、写真も)


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