【この店おすすめ】 ジャワ料理とサッカーの店
ネットの付いたゴールポストを通って店内に入ると、奥に座っていたレジ係が「ゴール!」と店員に注意を促した。天井からはサッカーボールが吊るされ、有名サッカーチームのポスターが目を引く。競技開催中は大スクリーンで試合の中継を映し、大勢のファンが集まる言わばスポーツカフェだが「安くて美味しいジャワ料理が食べられるフレンドリーなワルン」でもある。デンパサールのサラスワティ大学で日本語を教えるベティ・アリトナンさんの案内でお昼を食べに行った。
お皿にご飯を取り、ショーケースに並んだ20種類のおかずから好きな物を選ぶ。私はカツオ、ゼンマイの炒め物、豆腐とテンペ(1万3千ルピア)。ベティさんはマグロ、インゲンの炒め物、テンペ(1万1千ルピア)。
カツオは揚げた後、赤唐辛子をベースにした調味料で絡めたもの。ごく一般的なジャワ料理だが辛味と甘みのバランスが良く食べやすい。ゼンマイも炒め過ぎることなく、意外にさっぱりしている。豆腐もテンペも油を使っているが、私がインドネシア料理に慣れたのか、サンバルが強烈だったからなのか、最後までおいしく食べられた。
「インドネシア料理を食べたいという日本人がいたら必ずここに連れて来ます。とてもおいしいと毎回喜ばれます。この近くにあるバリ芸術大学(ISI)の外国人留学生にもとても人気があります」とベティさん。1人前8千ルピアからどんなに豪華に盛っても2万5000ルピアほどで食べられるのだからなおさらだろう。
店のスタッフによると、口コミで欧米人ツーリストがよくやって来るという。天井から吊るしたボールや壁に貼り付けたサッカーユニフォームは彼らがお土産にと置いていったものだ。テーブルトップは緑地に白のラインが引かれたサッカーフィールド。飲み物のメニューは品目ごとにロナルドやベッカムといった人気サッカー選手の名前が添えられている。隣に座っていたジルバブ姿の中年女性客が「ベッカムをちょうだい」と注文していた。
ジャワ料理とサッカー。インドネシア人はサッカーが大好きなことを考えればとてもしっくりくる組み合わせだ。(北井香織、写真も)