【この店おすすめ】 画家が愛したバリを今に
ホームステイを営む屋敷が立ち並ぶバリ島ウブドのカジュン通り。せわしなく車が行き交う表通りから少し中に入っただけだが、静かで田舎の風情が残る、趣のある通りだ。ここに一昔前のバリの雰囲気の中でゆっくり食事を楽しめるイタリア料理店があると、ウブド在住の横山美幸さんから聞き、お昼を食べに行った。
その店「イル・ジアルディーノ」は、バンガローの一角にあった。バンガローの名前はハンスネル。1940年代ウブドに移り住んだオランダ人画家で、レストランの横にはハンスネル氏のギャラリーがある。バリを愛し、モデルになったバリ人女性と結婚、インドネシアに帰化した彼の人生を作品とともに垣間見ることができる。
絵を見たあと、蓮の花が咲く池を見ながらテーブルについた。まず、バリのワイン会社「ハッテン」のスパークリングワインで乾杯。(グラス6万5千ルピア) 泡はなめらかで香りもこの値段なら合格点。南国には良く冷えた白のスパークリングワインがとても合う。
飲みながら頂いたのは前菜の盛り合わせ(アンティパスト・デリ、 6万9千ルピア)。ジャックフルーツ、オリーブの実、パプリカをマリネしたもの、モッツァレラ・チーズが乗っている。付け合せのパンは庭で採れたバジルで作ったというペストソースをつけて食べた。「爽やかかつ濃厚なオリーブオイルとバジルの風味、イタリア料理の醍醐味です」と横山さん。
メインは自家製パスタの中から、アーモンドとセージで風味付けをしたパンプキン・ラビオリ(5万2千ルピア)とニョッキ・バジルペスト(4万9千ルピア)を選んで二人で分けた。両方とも生パスタだけに口当たりがとても滑らかで、するするとお腹に入る。もちもちしたニョッキとバジルペスト、甘いパンプキンと香ばしいアーモンドの相性もいい。
今回はランチだったのでメインをパスタにしたが、次回はディナーで魚介類や肉類を試してみたい。テーブルのワイングラスに立てたキャンドルが灯れば、この上なくロマンチックな夜になるだろう。(北井香織、写真も)