【この店おすすめ】 オランダ時代の雰囲気を
中央ジャカルタのチキニ駅から徒歩20分ほど離れたところにオランダ統治時代の建物を改装したレストランやカフェが並んでいる。休日には近所の会社員から学生、デザイナーなどが当時の雰囲気を楽しむために訪れる。
「学校の課題をしたり、仕事をするのに最適です」。薦めてくれたのはリア外国語大学で日本語を学ぶディニー・ミランティさん(22)。
ディニーさんが薦めてくれた「ドゥア・ニョニャ」の店内は、うなぎの寝床のように間口が狭く、奥に長い。席数は30席ほど。少人数でゆっくりと話したり、本を読むのに重宝しそうだ。「おしゃれな内装で落ち着きます」というように天井には丸い照明がぶら下がり、オランダ統治時代の建築の古写真が壁一杯に掛けられ、当時の様子を偲ばせる。
メニューはスマトラのパダン、バリなど、インドネシア全国の食事や飲み物を取り揃えている。ディニーさんに薦められるままに、ご飯をバナナの葉に包んだまま焼かれたナシ・バカールとパダン料理のデンデン・バトコック(セットで3万7千ルピア)を注文。バナナの葉を開くと香ばしいにおいが広がる。デンデン・バトコックは西スマトラの伝統料理。牛肉を薄く切り、たたいて引き延ばした後、焼き上げたもの。肉自体は塩で味つけしただけだが、柔らかく、青唐辛子と一緒に食べるとより肉本来の味が引き立つ。付け合わせにはトゥミス・カンクン(1万9750ルピア)を注文。食後の飲み物はしっかりした甘みと独特な香りが特徴のスラウェシ島名産のトラジャコーヒー(1万5千ルピア)。ほかにはコピ・ルワック(7万5千ルピア)なども取り揃えている。
ディニーさんは休みには一人で旅行するのが好きで、国内はもちろん、シンガポールやタイに一人で旅行した。「もちろん日本にもいってみたい」と流ちょうな日本語で話す。
夜に学校へ通う傍ら、平日の昼間は日系企業のインドネシア人に日本語を教え、生活費をまかなっている。現在は4年生で、学校と仕事と大忙しだ。平日の寝る前にもインターネットの動画を使い、日本語の勉強を欠かさず、朝はNHKも見るという。「卒業後も日本語を教え続けたい」というディニーさんを応援したい。(高橋佳久、写真も)