【この店おすすめ】 豊かな自然の幸の味

 ダイビングの名所、北スラウェシ州マナドの沖合のブナケン島。東京ドーム2つ分の面積の小さな島は、ホームステイやホテルがひしめき、静かな休暇を過ごしにきた外国人でいっぱいになる。
 けれど、島で生活する島民のことを忘れてはいけない。ホームステイが立ち並ぶ地域から10分ほど離れたところに、観光や漁業で生計を立てる島民の村がある。海沿いの家から浜辺まで数歩で行ける場所で、皆、薄着で歩き回っている。外国人はあまりいない。
 散策のついでに立ち寄ったのが、粥(かゆ)屋台「トコ・ブブール・ブナケン」。メニューはブブール・ブナケン(7000ルピア)一つだけ。早速頼んでみた。
 暖かい粥をほおばった。カボチャとイモの甘み。卵の柔らかさ。菜っ葉が苦みを、タフ(豆腐)が酸っぱさを加えている。そして海でとれた塩が簡潔だが、深みのある味を出す。これはうまい粥だ。
 素材の味を生かした調理は、何となく新潟の祖母が作る料理を思い出させる。祖母の家は長野県北部まで続く森と山に囲まれていて、食材の宝庫。美しい海と豊かな森があふれるブナケン島には素晴らしい食材がずいぶんとあることだろう。
 ジャワにはブブール・アヤム(鳥粥)、マナドにはブブール・マナド(芋入りの粥)がある。だが、ブブール・ブナケンは別格だ。インドネシア料理であまり使われない、野菜がふんだんに使われ、味の幅をぐっと広めている。
 「あなたは、韓国人?」と宿初施設で働くユミさん(16)が尋ねてきた。聞いてみるとまだ高校生だ。「いや、日本ですよ」「こういう料理は日本にもあるのかしら」
 ブナケン島には村民だけで約2万人住んでいる。キリスト教徒が約6割。居住区は隣り合わせに分けているが、「宗派間対立」はない。互いの居住区を食器や食べ物、オートバイが行き来し、家々の敷居を皆がまたぎ合う。
 村の生き字引きのクリスティンさん(87)は「礼拝所の問題で住む場所は別になっているけれど、みな友だちなんですよ」と話した。日没が来ると、キリスト教徒もムスリムと一緒に集っていた。

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